日暮里の立ち食い蕎麦店『一由そば』で体験した、爆風と灼熱と超太麺の「本物のLIVEキッチン」/カツセマサヒコ
ただ東京で生まれたというだけで何かを期待されるか、どこかを軽蔑されてきた気がする――。そんな小説家カツセマサヒコが”アウェイな東京”に馴染むべくさまざまな店を訪ねては狼狽える冒険エッセイ。今回訪れたのは、日暮里駅近くにある24時間営業の立ち食い蕎麦店『一由そば』。担当編集に「本物のライブキッチンを見せてあげますよ」と連れて行かれた著者の願いは今日も「すこしドラマになってくれ」※本稿は2025年12月9日号より
最近は、寒くなってきたことがただただ嬉しい。理由は文末に書くとする。
気取った雰囲気のレストランやホテルに行くと、シェフが調理している様子を目の前で見せてくれることがある。あれをライブキッチンと呼ぶのだが、絶妙な手捌きは確かにライブでギターソロでも見ているような高揚感を覚える。
だが、気取った雰囲気のレストランやホテルのライブで満足していた私に、ある日、担当編集が言った。
「明日の夜、日暮里に来てください。本物のライブキッチンを見せてあげますよ」
『美味しんぼ』の超劣化版みたいな台詞を吐いた担当編集と、翌日、荒川区日暮里駅近くにある立ち食い蕎麦店「一由(いちよし)そば」に向かった。まだ8月の、暑い夜のことだった。
1986年、東京都生まれ。小説家。『明け方の若者たち』(幻冬舎)でデビュー。そのほか著書に『夜行秘密』(双葉社)、『ブルーマリッジ』(新潮社)、『わたしたちは、海』(光文社)などがある。好きなチェーン店は「味の民芸」「てんや」「珈琲館」
本物のLIVEキッチン【日暮里駅・一由そば(立ち食い蕎麦店)】vol.27
1986年、東京都生まれ。小説家。『明け方の若者たち』(幻冬舎)でデビュー。そのほか著書に『夜行秘密』(双葉社)、『ブルーマリッジ』(新潮社)、『わたしたちは、海』(光文社)などがある。好きなチェーン店は「味の民芸」「てんや」「珈琲館」



