アントニオ猪木の「元気ですかー!」に学ぶ――棚橋弘至社長が語るプロレスの根源
新日本プロレスの人気プロレスラーにして「100年に一人の逸材」と言わしめ、プロレスラーを引退したばかりの第11代社長(’23年12月就任)棚橋弘至が、日々の激務のなかでひらめいたビジネス哲学を綴っていく。今回は「プロレスの根源」について。棚橋社長はいったいどんな結論に至ったのか。(以下、棚橋弘至氏の寄稿)
引退試合を終え、’26年1月5日に選手兼社長という肩書から「選手兼」が外れ、社長専任になり、早いもので3か月がたとうとしています。
そうした流れのなかで最近、自分の意識の変化として感じるのは、「今、自分には何ができるのか?」を常に考えるようになったことです。
もちろん、現役時代からこういう思考は持っていたのですが、引退してからはよりそういった思考をするようになったと感じています。
それは、社長業に専念することで、自分で見つけてやる仕事が増えたからです。
プロレスラーとしては、バスに揺られ、会場に到着し、試合、またバスに揺られ、次の街へ行き、試合という生活を26年間続けてきたわけですからね。どうしても物理的な時間の制約がありました。
それが今は「自らできることを探す」という毎日ですが、実はこうした考え方もプロレスラー時代に培ってきたものなのです。
’00年代、新日本プロレスのビジネスが決して良いとは言えない時期がありました。当時は控室にいても、会社にいても関係者の口から出る言葉はネガティブなものが多かったと記憶しています。
そういったとき僕が思っていたのは「できないことを嘆くより、できることを見つけよう」ということでした。
確かに、動員から見える数字的な部分も、会場の盛り上がりといった雰囲気も、良くない時期でした。それでも、もちろん新日本プロレスを楽しんでくださっている、待ってくださっているお客様が目の前にいます。
リング上の僕たちの気持ちが沈んでいたら、その感情はやはり伝わってしまうのです。
僕たち新日本プロレスの思いは、「プロレスの試合を観て、元気になっていただきたい」ということ。
そこで、僕は気がつきました。新日本プロレスは「エネルギーを売っている会社」なのだと。
もちろん目に見える“エネルギー”ではありませんが、プロレスを観た後、プロレスごっこをする子供たち。試合を振り返りながらする家族や恋人、友達との会話。すべて、エネルギーの伝播があってのことだと思うのです。
この「プロレスを観ると元気になる」という言葉を使ったら、誇大広告に当たりますかね!? しかし、実体験として、棚橋少年がプロレスラーからエネルギーをもらっていたのは、揺るぎない事実。
となると、これからも、新日本プロレスは、社長が一番元気でなくては務まらないですね……!
皆さんも、棚橋方式の「嘆く前に動く」を実践してみてください。じっと同じ場所で悩むよりも、今いる位置から動くことで、新しく見えてくる景色がきっとありますから。
猪木さんが「元気ですかー!」と叫んでいたところに、仕事の根源的なルーツがあるのかもしれませんね。
1976年生まれ。新日本プロレスの第11代社長(’23年12月就任)。’26年1月4日を以て現役を引退。キャッチコピーは「100年に一人の逸材」
vol.68 アントニオ猪木の「元気ですかー!」に見る、プロレスの根源

棚橋弘至 ©新日本プロレス

先日、台湾出張に行ってきました。台湾にもいい選手がいましたね ©新日本プロレス
今週のオレ社訓 ~This Week’s LESSON~
「嘆く前に動く」を実践すれば、新しく見える景色がある! <文/棚橋弘至 写真/©新日本プロレス>1976年生まれ。新日本プロレスの第11代社長(’23年12月就任)。’26年1月4日を以て現役を引退。キャッチコピーは「100年に一人の逸材」
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