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シャープ社員が激白「ウチの会社がダメになった理由」

会社 シャープの凋落に「経営判断ミス」が散見されるのは各メディアが報じる通りだ。価格競争時代の到来を目前にしながら、コスト度外視で“品質”にこだわり続けたこと。全盛期に自社製品への供給を優先して得意先であったソニーへの納期を遅らせ、ソニーを怒らせたこと(これによりソニーはサムスンと提携することになる)……。さまざまな要因が積み重なり、今日の経営難を招いたと言えるだろう。  そうした要因のひとつに「社風」を挙げるのが、ほかならぬシャープ社員だ。彼らに「会社がダメになった理由」を直撃してみた。 「ひとことで言えば、マジメに働く気がなくなる会社ですね。居心地は悪くないんですが……」と話すのは、首都圏で営業を担当する近藤弘さん(仮名・29歳)。 「象徴的なのは、リーマンショックで需要が冷え込んで以来、あり得ない勢いで毎年ノルマが上がっていったこと。冗談にしか思えない数字です。部内でも『ふざけんな』という声は上がっていましたが、その反面ぴりぴりした雰囲気はゼロ。なぜって、ノルマが達成できなくてもなんのペナルティもないから(笑)」  一方で、がんばって成果を出している人には期待とプレッシャーだけが集中し、給料はほとんど上がらないという不条理が……。 「昇給と降給は±5%の範囲内と決まっているんです。そのくせ、頑張らなくてももらえる手当ては充実していて、ウチの支社では住宅手当で8万円くらいもらっている人が多い」  技術力、開発力に自信を持つ企業の例に漏れず、シャープでも営業が弱いと言われてきた。だが、このところの業績不振を受けて「営業にテコ入れする」ことに。 「各事業部で余っている人間を寄せ集めて『専門部隊をつくりました』と。今まで半導体とかやっていたヤツを液晶の営業に回してどうするのって。そういう“やったふりだけ”が、何につけても本当に多い」(前出の近藤さん)  本社でマーケティングに携わる川口雄一郎さん(仮名・30歳)も「研修という名目で、いきなり家電量販店に営業に行かされました。付け焼刃の営業は何の問題解決にもならないと思うのですが……」と困惑する。  関西で営業を担当する小西亮輔さん(仮名・28歳)はこう憤る。 「ネットでバカにされていたV字回復プランには、僕らだって苦笑ですよ。液晶パネルをアップルに安定供給することによって業績回復するとか言ってるけど、それでどれだけ数字が改善される見込みがあるのか……などの具体的な話は一切ない。そんなの信用できるわけがないでしょう」  近藤さんは、経営悪化が騒がれる前の6月ごろに転職活動を始め、すでに再就職先も決めているという。周りからの反応は? 「皆『うらやましい』とは言いますけど、口だけで誰も本気で転職を考えていない。そもそも、転職に対して悪いイメージがあるんですよ。外から中途採用者が来ても部外者扱いですし、基本的にはプロパーばっかりで離職率も異様に低い。昔からそういう会社なんですね。だから、こんな状況でも辞める人間のほうが珍しいんです」  こうして話を聞いていると、シャープの経営難は「液晶パネル事業の失敗」以外にも原因があるように思えてくる。そして、多くの読者は気づいたはずだ。ここで語られたエピソードの多くは「ウチの会社でもよくある話」だということに……。そう、シャープの悲劇は明日は我が身かもしれない。週刊SPA!10/16発売号では「5年以内に消える会社の判断基準」と題した特集を組んでいる。あなたの会社は大丈夫か? ぜひチェックしてみてほしい。<取材・文/日刊SPA!取材班 イラスト/もりいくすお>
週刊SPA!10/23号(10/16発売)

表紙の人/鹿目まどか(魔法少女まどか☆マギカ)

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