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老朽化マンションが抱える「スラム化」問題

老朽化

「古い建物なので廊下などにはアスベストが使われ、耐震診断でも関東大震災クラスの地震で『大破』と診断されました」と語るマンションAの管理組合理事長。前途多難だが少しずつ修繕を行っていくという

「予断を許さない状況ですが、なんとかスラム化の寸前で踏みとどまっています」と話すのは、横浜市の築30数年の分譲マンションAの管理組合理事長だ。彼がこの物件を購入した6年前、すでにスラム化の兆候が表れ始めていたという。

「共用部の床が剥がれ、外壁は崩れ落ちそうになり、配水管の故障で水が逆流する事態も頻発した。調べてみると、本来は十数年おきに行われるべき大規模修繕が、過去に一度しか行われていなかったのです。最大の問題は修繕積立金の不足。本来ならば一戸あたり月1万円以上は徴収すべきなのが、月たったの3000円で、しかも滞納・未納者がかなりいました」

 国土交通省のマンション総合調査(’08年)によれば、全国の分譲マンションの約4割で管理費滞納が起きているという。住人が高齢化し、支払いに困る年金受給世帯が増えたことが影響しているのは言うまでもない。その一方で建物の老朽化は年々進み、修繕費はかさむ。直せないまま放置された物件は荒れ、次第に空室が増加……。これがスラム化の入り口だ。

「そこで、私は理事長に就任し、修繕計画を立案しようとしたのですが、なかなか入居者の合意が得られませんでした。というのも、約200戸の区分所有者のうち、最初から入居している人はほとんどが高齢者。投資用に購入された部屋は又貸しされて、今は誰が住んでいるのかもわからない。さらに外国人や暴力団関係者も多数入居している。これで全体の意思統一をはかるのは至難の業ですよ」

 それでも何とか最小限の費用を工面し、今後は少しずつ修繕を行う予定だという。

「こうした状況に陥るマンションは全国各地で増え続けている」と話すのは、日本マンション学会の松本恭治理事だ。

「当然ながら、マンションは分譲当初よりも資産価値が下がり、地方だと状況によっては十数年で半値ほどにもなるところや、競売にかけられる物件も出てきます。すると、分譲当初に購入した層と値下げ後に購入した層とでは、収入面で大きな格差が出てきます。収入不安定層が多くなれば、モラルハザードも起きやすくなる。それにもともとの住人の高齢化なども合わさり、次第に管理組合が機能不全になるのです」

 週刊SPA!10/8発売号「[マンションのスラム化]がヤバ過ぎる!」では、上記のような寸前のところでスラム化を免れた物件から、さらに悪化し完全にスラム化、あるいは廃墟同然(住民がいるのに)となった老朽化マンションの実態をリポート。またブームで増加する「リノベーション物件」の落とし穴についても報じている。 <取材・文/週刊SPA!編集部>

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