雑学

日本でも巨大爆発事故は起きている。中国・天津の事故は他人事ではない

「爆発」のリスク

photo by geralt (CC0 Public Domain)

 携帯電話やスイカ、マンホール……思いがけないものが爆発することでしばしば話題に上る中国。その中国天津市の危険物倉庫で、今年8月、記録的な巨大爆発事故が発生した。倉庫の中にはシアン化ナトリウムや硝酸アンモニウムといった複数の危険物が大量に保管されていたが、爆発の原因は発火したコンテナ内にあった金属ナトリウムに、消防隊員が放水したことだとも一部で報じられている。だが、その放水説に疑問の声を上げる専門家の一人が、東京理科大国際火災科学研究科の松原美之教授である。

「確かにナトリウムに水をかけると水素ガスが発生して激しい爆発が起きますが、あの爆発にはガスの炎の広がりがなく、瞬間的に爆発している。それが、2013年に起きた『テキサス州肥料工場の爆発事故』の映像とすごくよく似ているんです」

 事故は、ダラス南方約130kmに位置する化学肥料会社ウエスト・ファーティライザーの工場で発生し、多数の死傷者が出、近くの集合住宅・学校・高齢者施設などが炎上、損壊した。爆発の瞬間と被害の映像がYouTubeでも公開されている。

 いずれにしても、存在している物質に対し、適切な対処が為されなかったことが問題となったわけだが、こうした事故は日本でも起きている。

 1964年、東京都品川区勝島の倉庫で、敷地内に野積みされていたドラム缶入りニトロセルロースが発火、爆発。無許可で保管されていたプラスチック硬化剤の爆発によって消防隊員19人が殉職。100人以上が重軽傷を負った。

「現在では水が禁忌の物質に放水することなどがないよう、消防庁が厳しく規制し、どこにどんな物質が保管されているか把握しています。そうした安全策の欠如が今回の天津の悲劇につながったわけです。とはいえ、事前に全く予期できなかった爆発事故もあります。その代表例が1921年ドイツ南西部の町オッパウで発生した化学薬品プラントの爆発事故です」

 工場の倉庫内に山積みした4500tの肥料の塊(硝安と硫安の化合物)を粉砕するため、ダイナマイトで爆破した際に事故は起きた。その作業は、それまでにも約3万回、同じ手順で無事故で遂行されていたが、この一回の事故で従業員など669人が死亡、1952人が負傷した。

「その後の検証でもこの爆発を再現することはできず、原因は不明のまま。判明したのは安定した物質でもそれが大量に集まったときや思いがけない物質と反応した際、爆発する可能性があるということです」

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