日本のポップスを牽引してきたASKAとプロインタビュアー・吉田豪が7年ぶりの直接対談。話はエンタメ界の重鎮・秋元康とASKAの関係性の変遷に及んだ。今では盟友となったふたりだが、かつては因縁浅からぬ関係であったことは確かなようだ。ついに本人の口から秋元康との真の関係が明かされる。(2回目/
全4回)
『ザ・ベストテン』でもあった“ひと揉め”
吉田:実は、その前にも布石があった。『ザ・ベストテン』(1978~1989年放送)で構成作家をやっていた秋元さんとひと揉めしていた。
ASKA:その縁もあった。
吉田:CHAGEさんが『ふたりの愛ランド』(1984年、石川優子とチャゲのコラボレーション・シングル)でランキング入りし、チャゲアスのコンサート会場に中継が来た。そこでASKAさんが画面に映る・映らないで揉めたって聞いてます。
ASKA:だってCHAGEと石川優子で『ベストテン』に入ってるんだから、CHAGEが出ればいいだけ。なのに「CHAGE and ASKAで出てほしい」って言うから。僕がくっついてるみたいに見られるのが嫌だった。チャゲアスと切り離して、「あいつのソロだからCHAGEだけでいいじゃないですか」って言ったら、秋元に「いや、それは出てもらわないと」って言われて。「いや、自分が出たがりみたいに見られるの嫌だ」と返したら、彼に「嫌なヤツに思われますよ」って言われてカチンときてさ。でも、そのあとなだめられて、落としどころがあった出方をしたね、たしか。
冠ラジオ番組でも「出演は月1回のみ」のワケ
吉田:いざこざがあった相手と、また仲良く話すようになるのも面白いです。
ASKA:うん、前に「飯に行こう」って言いながら結局まだ行けてないんだけど、タイミングが合えばいつでも行ける関係だね。でも、今別件で忙しそう。
吉田:ドラマとかですかね?
ASKA:彼、タスク人間だから。機会があれば、これから会うこともあるでしょう。
吉田:そんな流れでボクがASKAさんのラジオ『Terminal Melody』(‘21年~、TOKYOFM)のゲストに呼ばれたとき、作詞・秋元康、作曲ASKAの『君を万引きしたい』(とんねるず)を選曲して。
ASKA:あのときはありがとうございました。ゲストで出てくれたの早かったもんね、番組が始まって3か月ぐらいで。あの番組ももう丸3年かな。
吉田:相当特殊な番組です。ASKAさんの番組なのに本人はほぼ出演せず、ひたすらゲストがASKAさんの話をして、ASKAさんの曲を流すっていう。
1970年、東京都出身。プロ書評家、プロインタビュアー、ライター。主な著書に『男気万字固め』(幻冬舎)、『人間コク宝』シリーズ(コアマガジン)、『サブカル・スーパースター鬱伝』(徳間書店)、『書評の星座』(ホーム社)など