中国で日本人男児を刺殺したのは44歳無職。日本ヘイトの中年世代は、なぜ暴走するのか?
幼い命が奪われた、深セン・日本男児刺殺事件。蘇州バスジャック事件など、日本人を標的とした事件は日中両国で波紋を広げた。愛国教育の名のもとに刷り込まれた反日感情が、事件の引き金となったのか? 中国のネット事情や経済からその背景に迫る。
多くの中国人富裕層や駐在員が暮らす、深セン・南山区蛇口。この閑静なエリアで、日本人学校に通う10歳の男児が惨殺される事件が起きた。
深セン情報サイト「深セン ファン」を運営する荒木大地さんは現地の様子をこう語る。
「現地の高級住宅街に暮らす駐在員家族の中には、外資系スーパーで買い物をし、決まったエリアからほぼ出ないという人も多い。ところが、犯人はこの安全圏を突破して突っ込んできた。ある駐在員家族は『今は配達員が家に来ても怖くて玄関のドアを開けられない』と話していましたね」
深センでスタートアップ企業を営む吉川真人さんも振り返る。
「深センは中国の中でも比較的治安のよい場所なので、今回の事件に現地の人も衝撃を受けています。現場に居合わせた知人によると、取り押さえられた犯人は目が据わっていて、尋常ではない様子だったそうです」
逮捕された44歳の男性は2度の前科と起業に失敗した過去があり、事件当時は無職だった。
中国メディアは今回の事件はあくまで「偶発的」なものとしているが、今年6月には蘇州で日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われた事件もあり、反日感情の高まりが動機となったのではないかと疑われている。