SNSを使って株価操作「1投稿50万円」の怪しい実態
多額のお金が飛び交う投資の世界。有象無象がうごめく株式市場においては、昔から「風説の流布」による違法な株価操作は行われていた。その舞台はいま、ツイッターをはじめとしたSNSの普及とともにインターネット上で広まり、その影響力の大きさから問題視されている。特定の銘柄についての根拠がない情報を投稿し、株の売買を促す――。
いったい誰がどのような手口で行っているのか。われわれ取材班はその実態を追った。
東京都練馬区在住の佐藤たかしさん(仮名・34歳)は、デイトレーダー歴4年目の個人投資家。自宅の作業机には、40インチ以上の大きなモニターが設置され、囲むかのように4個の小さなモニターが備えられている。月に50万円ほど、株取引でコンスタントに利益を出しているという。
「2022年末ごろかな。70万円の負債を経験しました。ある半導体銘柄を1株5000円で購入し、その後ツイッターで『6000円以上は行く』という投稿を見つけたんです。実際に6000円まで伸び、その投稿を信用したんですが、しばらくしたら、連続でストップ安! でも、そのアカウントが『先日記録の高値を更新する』と投稿していて。先日のように今後必ず伸びると信じ、指し値注文をし、ダメージを受けました」
株価のアドバイスをしていたそのアカウントをAと称しよう。
アカウントAは2022年末当時、フォロワー数が1万人以上。当時の心境を佐藤さんは「フォロワー数で信じたものの、直接会ったことはなく見ず知らずの人。信じた私が悪いですが、何かやるせない気持ちです」と語る。
こうしたケースは枚挙に暇がない。投資が自己責任である以上、信じた佐藤さんが悪いわけだが、取材を続けていると悪質なケースにも遭遇した。