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「諦めを繰り返して、俺はここにいる」坊主頭の人気ラッパー、MOROHAアフロの原動力

坊主頭ラッパーが起こす「革命」

アフロ_エッジな人々

MC(MOROHA)アフロ

 バンド名を漢字にすると「両刃」。アコースティックギター一本の切ないメロディに乗せ、夢や挫折、恋愛や失恋など実体験を詰め込んだリリックという“魂の叫び”は、聴く者の心を斬りつける。ライブ会場では涙を流す観客も少なくなく、俳優の生田斗真ら多くの著名人もファンであることを公言する。坊主頭なのにアフロと名乗るMCはCM出演、映画初主演を果たしても、いまだ「悔しさ」「惨めさ」「諦め」を口にする。今、一番熱い男の原動力とは何か? ――今年で結成15周年。ファンは熱心でストイックな人たちが多い印象です。 アフロ:俺たちはロックのイベントでもヒップホップのイベントでも、どこへ行っても居場所がなく疎外感を感じていたんです。だから全員敵だと思ってた。結果、舐められちゃいけないという気持ちが強すぎて、他人を裁こうとするようになってしまった。それを続けると崇められるような存在に行き着くんです。でも、そのやり方を貫く強さが俺にはなくて。もっとスットコドッコイな自分たちを好きになってもらわないと、楽しく生きれなくなると思ったんですね。 ――それで近年のバラエティ出演や、映画出演などに繋がっていると。 アフロ:チキンラーメンのCMもそうですね。でも「こういうことやってほしくなかった」みたいな声もあって。9月にUKが体調を崩して、ライブ活動の休止をSNSで発表したときに「励ましの声がたくさんくるかな」と思ってたら「CM見たぞ! ダサくなったなお前ら!」みたいなリプライをいきなり見てしまって。しんどい発表をした直後にこういう言葉を平気で投げつける、そんな人間を惹き寄せるような活動をしてきてしまったのか、という絶望感がありました。恐らくそれは自分の表現にそういう無慈悲な部分があったからだと思うんです。それを考えると今も自分に不甲斐なさを感じます。でも、……俺はやっぱりこれさえも歌にしたいと思ってしまうんですね。 ――悔しさが原動力になっているんですね。 アフロ:最近、アナウンサーの堀井美香さんと「オリジナリティって何だろう?」って話をしていて「諦めた回数かもね」って答えになったんです。例えば道が2つあって、Aに憧れはあるんだけど、その道の究極に触れたとき自分には無理だって思い知る。でも試みることでより確信を持ってBに進める。すごいものを知れば知るほど自分の選択肢は奪われて、やるべきことがハッキリしていく。それがオリジナリティなんじゃないかって。そういう諦めを繰り返し続けて、今、俺はここにいるんだと思う。