昼は現役音大生、夜はメンズエステの人気嬢。箱入り娘が「若さをカネに換えてやる」とふっきれた、家族の崩壊と社会への恨み
春は卒業、就職のシーズン。文部科学省の「学校基本調査」によれば、ここ10年間の大卒就職者数は39万~44万人台で推移しているので、単純に約半数としても20万人ほどの女子大生が社会人デビューを控えていることになる。
とはいえ、昨今は大学生の半数が奨学金を利用している状況なだけに、学生時代から様々なお金の稼ぎ方を実践するコが多い。なかには風俗業界で働いたり、SNSを介したパパ活や交際クラブに登録したり、男性相手にシビアなお金稼ぎをしてきた女子大生も少なくないだろう。
そんな女性たちは、果たしてどのような会社に就職するのか? 社会人デビューを控えた「学生〇〇嬢」たちの進路や、リアルな人生観を聞いてみた。
愛内純奈さん(仮名・22歳)は、4月から都内の学術系のシンクタンクで働くことになっている。就活はしていない。なぜなら親族のコネを利用して入社したからだ。何ともうらやましい話だが、昼は都内の音楽大学に通っているというから納得の一言。どうやら経済的に余裕がある家庭で箱入り娘のように育てられてきたようだ。ただ、それはあくまで大学に入学する前までの話であった。現在は、夜の空いた時間に新宿区内にあるマンション型のメンズエステに勤務する“人気嬢”としての一面を持つ。
セミロングよりも少し長めの髪の毛に、細身の体躯。音楽会などには巻いた髪がよく似合うため長くする必要があるが、「メンズエステではオイルを使うので縛り上げやすい毛量が望ましく、塩梅が難しい」と笑った。
「仲よくなったお客さんには『昼の顔』を教えています。メンエスで働く音大生は珍しいらしく、喜ばれます。ピアノ科なので、『その指で触ってほしい』なんて喜ぶドMのお客さんもいますよ。メンエスがいいのは短い時間で稼げて、基本的にお客さんがMだというところ。お客さんからはあまり触ってこないし、“マグロ”でいることが美徳とされている気がします。どこまでサービスをするかをこちらが決められるので、イニシアティブを握れるんですよね」
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki