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“セカンドキャリア支援~”など名称は優しくても、実態は肩たたき…新型リストラの裏側

株高・物価高・賃金高が進むなかで、なぜかリストラが増えている。業績低迷企業はもとより、黒字企業でも“構造改革”の名のもとにクビ切りが行われているのだ。巧妙化するその手口を調査した。

聞こえのいい早期・希望退職募集制度

[急増するリストラ]最新手口かつて、辞めさせたい社員を誰でもできる単純作業に丸一日従事させる、「追い出し部屋」と呼ばれるリストラ部署が大きな社会問題となった。だが、ここ数年を見ると、企業のリストラ策は巧妙に進化している。その代表例が、聞こえのいい早期・希望退職募集制度だ。人事ジャーナリストの溝上憲文氏が話す。 「ご存じのとおり、日本では労働者保護の観点から、一方的な指名解雇は認められません。そこで、会社が退職金の上乗せという特典をつけ、さらに再就職支援も行うことを売りに退職希望者を募るリストラ策が王道になったわけです。その方法に大きく変わりはないのですが、近年の傾向としてはリストラの持つ負のイメージをひた隠しにして、むしろ社員のキャリアを親身になって応援してくれるような肩叩きが増えている。富士通は『セルフ・プロデュース支援制度』、資生堂は『ミライキャリアプラン』というように、キャリアアップを支援してくれるかのような錯覚を起こすネーミングばかりです」 言ってみれば、キラキラネーム系リストラだが、中身はそんなキレイなものではない。某電機メーカーを2年前に退職した5代男性が話す。 「“募集”と言いながら、辞めてもらいたい社員には、上司が個々に『応募を考えてほしい』と、事実上の退職勧奨をするのが一般的。半年近く、『任せられる仕事がない』と何度も応募するよう説得されて鬱になった同僚もいる」

退職募集への応募を勧めるマニュアルも