更新日:2025年02月19日 12:02
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もう親と縁を切りたい…!代行サービスも登場、絶縁する方法とお値段は?

「親の面倒は子が見るもの」という価値観が、私たちを苦しめる――。求められる仕送り、消耗する介護に、心身の疲労が蓄積し、もう疲れたと自ら望んで家族関係をフェードアウトする人々が増加中だ。その切実な胸の内を聞いた。

母の死をきっかけに父との関係がさらに悪化

[家族をもうやめた]人の肖像

幼い頃から「父のようにはなりたくない」という思いを強く持っていた佐々木武文さん(仮名・50歳)

「父を見送った心境ですか? 怒られるかもしれませんが、『すがすがしい』です……」 そう現在の気持ちを語るのは、東京都内で暮らす会社員の佐々木武文さん(仮名・50歳)。この取材を行った2月上旬、彼の実父(78歳)は老衰で亡くなったのだ。そんな父に、長年振り回されてきた――。 関東近郊の一軒家で、父は会社員、母は専業主婦、言わば“一般的”な核家族で育ってきた佐々木さん。しかし、幼少期から「父とは折り合いがよくなかった」と話す。 「父は頑固で融通が利かない性分。母が入院したときも、なんだかんだと理由をつけて、一度も病室を訪れようとはしませんでした」 佐々木さんは結婚後、実家を離れなるべく接触は避けていたが……’23年12月、母が亡くなってしまう。佐々木さんが仕事に育児に忙しい、48歳のときのことだった。

認知症だった父の暴言に心が壊れそうになる

「父が軽い認知症とは知っていて、自立できるだろうかと話し合いに行ったら……。運転免許証の期限は切れ、マイナンバーカードも持っていなかったんです。『役所に作りに行こうか?』と勧めると、『お前、そのカードで俺のカネを引き出すんだろ?』とすごまれた。別の日にはヘルパーサービスの話をしている最中、激高して『お前、俺のこと舐めてるだろ。刺すぞ』とも……」 そして昨年のことだ。 「仕事中、父が体調を崩して救急病院に搬送されたと連絡がきました。行政の担当者と入院手続きなど平日・休日を問わずやりとりするなかで、急に『なんで、あんなヤツのために頑張らなきゃいけないのか……』と糸がと切れる感覚がありました」 佐々木さんは「親との縁を完全に切ろう」と、以降の手続きを親の終活全般の代行サービスを行う一般社団法人「LMN」に一任した。 同団体では入会時に「登録・ライフコンサルティング代金」(44万円)と、緊急時の連絡や、家族が亡くなったときの搬送手続きなどを請け負う「身元引受料」(11万円)の契約が必須、2つを合わせた計55万円が基本料金となる。 さらに病院への通院同行や施設入所の手続き代行など、別途業務が発生した場合は、各回1万1000円の実費を支払う仕組みだが、佐々木さんは、「亡くなるまで緊急のサポート以外は不要」と伝えていたので追加料金は発生しなかった。 佐々木さんがLMNに支払った金額 登録料+相談料:44万円 身元引受料:11万円 計:55万円

相談の8割は親関連。8年で5倍増に