年収500万円世帯はもはや“中流貧民”…家を買える限界のエリアを試算してみたら、侘びしい結果に
増税、社会保険料の引き上げにより、同じ年収500万円でも、10年前は28万9000円だった手取り月収が、現在28万円にまで目減り。また、物価高による食費、水道光熱費など固定費等の増大で、生活に必要な最低限の費用を除くと、預貯金できる金額は月1万8200円という惨状。年収500万円世帯の家計簿は火の車というのが実状だ。
この10年で日本の家計はどう変化したのか。下表は10年前にSPA!が試算した年収500万円世帯の家計簿だ。今回新たに最新の家計簿をFPの横山光昭氏に算出してもらい、10年前と比較してみた。
FPの横山光昭氏の試算によれば、夫婦2人で妻は専業主婦、小学生の子供1人の家庭持つ、世帯年収500万円男が住居費に回せる金額は8万4000円。それに、預貯金の1万8200円から捻出した“余剰金8400円”を合わせた9万2400円が住居費の限界値となる。これをフラット35(返済期間35年・ローン固定金利1.82%)でシミュレーションすると、2868万円の物件が購入可能ということになる。
10年前が3294万円だったことを考えると、実に悲惨だが、この予算で買えるエリアはどこか。SPA!編集部のある港区浜松町に通勤すると仮定し、不動産ジャーナリストの榊淳司氏に限界値を算出してもらった。
「3人家族で住むには、50㎡・2LDK以上は必要。さらに通勤を考えると駅から徒歩15分圏内が限界です。10年前から比べると建築資材価格が2倍近くも上がっていて、23区内の物件は購入できません。新築だと東京郊外の青梅市にあるマンション、神奈川県横浜市南区の新築戸建てが購入可能。片道90分の通勤は覚悟することになります」
しかし、中古物件なら、広さと間取りは同条件でもまだ23区内で手の届く物件がある。
「ただし、築年数が30年以上の物件のみ。例えば、葛飾区堀切の築44年の中古マンションや、足立区の舎人にある築35年の戸建てなど。1981年以前の旧耐震基準物件ではないですが、老朽化に伴う修繕のリスクも高い。かなりの悪条件にはなりますね」
仮に物件が見つかっても、10年前にはなかった新たな問題に直面するという。それが住宅ローン審査だ。
「近年は銀行の審査が厳しくなっていて、40歳の年収500万円の与信では満額は不可能。現実的には、物件購入のため最低500万円の頭金がなければ購入を断られるケースも多い」
住宅の悪条件だけでなく、まず貯金がなければスタートラインにも立てない。中流貧民には厳しい現実が待ち受ける。
中流貧民の家計簿は火の車

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