代表復帰の佐野海舟には現有戦力を超える期待が…「初選出選手」が7人でも「“消化試合”ではない」と明言する森保監督の狙い
サッカー日本代表は6月5日にアウェイでオーストラリア代表と、6月10日にホームでインドネシア代表と対戦する。これでFIFAワールドカップ26 アジア最終予選の全日程が終了。3月20日に行われたバーレーン代表戦で勝利し、ワールドカップ本大会の出場権を獲得した日本代表にとっては、残りの2試合は“消化試合”になる。とはいっても、約1年後に開催される本大会で勝ち抜くため強化を図るという意味では、活動期間の少ない代表チームにとって残された試合はすべて貴重な機会。
さて、今回の2試合に向けて森保一監督は初選出となる選手を7人も招集。新戦力発掘を目的とした試合と位置づけたようだ。
森保監督はメンバー発表の会見で、大幅にメンバーを入れ替えた理由を明かしている。
「これから先のことも見据えチーム力を上げるためにも、勝利を目指すということにこだわりながら、選手一人ひとりの成長を促し、選手の成長がチームの大きな成長につながるように、チームとしての選手層の幅を厚く強固にして、これからのさらなる成長につなげていけるようにしたいと思っています」
加えて、「代表に消化試合はないですし、負けていい試合はないと思います」とコメント。新たな戦力の成長を狙いつつ、全力で勝ちにいくと念を押している。
しかし、「勝ちにいく」プライオリティはさほど高くないのではないか。メンバーを見れば明らかで、本音では新戦力の発掘に重きを置いたのだろう。実際に、手薄といえるウイングバック、サイドバックを担える選手を多く招集している。
森保監督が率いる日本代表にとって、このポジションは“戦術の肝”になるといっても過言ではない。このポジションに誰を起用するかで戦術が変わる。アジア最終予選では、堂安律、伊東純也が右のウイングバックとして起用されることが多く、左は三笘薫、中村敬斗の出番が多かった。強豪と対戦することになる本大会を見据えると、攻撃的な彼らを起用せずに対人能力に優れた守備的な選手を起用する機会もあるだろう。「カタール大会のような戦い方」といえば想像がつきやすいのではないか。
また、このポジションに菅原由勢や中山雄太のようなサイドバックを担える選手を起用することで、試合の途中で3バックから4バックにシステム変更することも容易となる。このように戦術の幅を決定づけるうえでも、極めて重要なポジションといえよう。

佐野海舟 ©産経新聞
「代表に消化試合はない」と明言
“戦術の肝”だが、手薄なポジションが
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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