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8割が「新NISAも含めてまったく投資をしていない」と回答。老後資金をあきらめて今を生きる中流の未来

物価高や税金・社会保険負担の増加で「中流」と言われた人たちの暮らしぶりが貧民化している。もはや「普通に生きるのもツラい」との声も聞こえるなか、取材班は3700人の中流層にアンケートを実施。裕福ではないが貧しくもなかった“平均的”暮らしは今、どう変わってきているのか?貧民化する「令和の中流」の実態を明らかにした。

「新NISAも含めてまったく投資をしていない」人は8割

[中流貧民]3700人の肖像会社定年後のシニアライフには2000万円が必要――。そんな「老後資金2000万円問題」がクローズアップされたのは’19年のことだった。あれから6年を経て、資産形成に対する意識は着実に高まっている。だが、今回の調査では中流層の投資意欲は想像以上に小さいことがわかった。 実に81%もの人が「新NISAも含めてまったく投資をしていない」と回答したのだ。また、19%の「投資をしている」人のうち、37%が「株式などの金融資産は100万円未満」と回答した。 なぜ、中流層および氷河期世代はこんなにも投資意欲が低く、金融資産が乏しいのか。エコノミストの永濱利廣氏は次のように分析する。 「貯蓄から投資へと言われ始めたのは’01年のことですが、ITバブル崩壊を受けて、その後、’12年まで株式市場は低迷を続けました。そんな相場を見ていたら投資をする気になれないという意識が働いてもおかしくないでしょう。でも、この間に、企業の内部留保は25年間で3倍の600兆円に増え、株主還元の重要性が叫ばれて配当金も増え続けた。 つまり、企業と資本家が収益を増やすなか、投資意欲もお金もなかった氷河期世代が置いてきぼりを食らった。この傾向は新NISAブームが到来しても変わらない。氷河期世代は年齢的にリストラの対象になりやすく、雇用不安を抱えているので投資に回す心理的余裕がないのです」 企業は’23年には本格的に賃上げに動きだしたが、氷河期世代は恩恵を受けていないどころか、「“賃下げ”された人が多い」という。

現役生活の延長が必須の氷河期世代