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世帯年収600万円でも「激安のアルファ米ばかり」…貧民化する“中流”の暮らし。地盤沈下が進む理由とは

物価高や税金・社会保険負担の増加で「中流」と言われた人たちの暮らしぶりが貧民化している。もはや「普通に生きるのもツラい」との声も聞こえるなか、取材班は3700人の中流層にアンケートを実施。裕福ではないが貧しくもなかった“平均的”暮らしは今、どう変わってきているのか?貧民化する「令和の中流」の実態を明らかにした。

妻との暮らしは「年々悪くなっている」

[中流貧民]3700人の肖像

遠野清隆さん(仮名・50歳)。40代前半までバリバリ働いたが、うつ病により一時休職して年収大幅ダウン。親の介護負担が重くのしかかる

「妻と合わせて、世帯年収は約600万円。子供がいないので、なんとかやってきたけど、親が認知症を患って介護費用をウチらが負担してきたので生活はカツカツでした。貯金は500万円ほどあるけど、老後資金を貯めるほどの余裕はありません」 うつむいたままこう話しだしたのは、都内の通信会社の営業マンとして働く遠野清隆さん(仮名・50歳)。2歳年下の妻との暮らしぶりを「年々悪くなっている」と振り返る。 「実は5年前まで、私だけで年収は500万円以上あったんです。でも、管理職に就いてから文句ばかり言う年上部下に悩まされて、取引先のトラブル処理に追われ、残業時間が月100時間を超えた。それで、体もメンタルもやられて半年間休職したんです。復職したら、一気に3段階ぐらい降格させられて年収は300万円台に激減した。 それで賃貸マンションを引き払って東京・足立区の家賃7万5000円の区営団地に引っ越しました。閑職に追いやられたので、残業はなく、今後の昇給は期待できそうにありません。だから、食費を限りなく減らそうと、最近は自治体が災害用に備蓄していた賞味期限切れのアルファ米を激安で買ってきて、そればかり食べてます。50食入った1ケースが500円ぐらいで買えるので、スーパーで買った半額のお惣菜を何回か分のおかずにすれば、1食30円ぐらいで済むんです」
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中流の地盤沈下が進んでいる
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