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“ボーナスを廃止”した企業の社員満足度がアップしたワケ。離職率が低下し「面接しても採用できない」ことも

賞与の時期に浮かぶのは笑顔ばかりではない。大量リストラ、納得のいかない査定、不祥事のしわ寄せ……。今年も「夏のボーナス」は企業の本音をあぶり出す。話題になった企業に勤める社員たちはいくらもらい、何を思ったのか。その“実額”を調査した──。

「ボーナス廃止」したのに社員満足度がアップしたワケ

不祥事&リストラ企業[夏のボーナス]大調査

ほかにも完全週休2日制をいち早く取り入れたという片寄氏。この取り組みが業界全体へ良い影響を及ぼすか

コロナ禍以降、飲食業界では人手不足や閉店ラッシュが続く中、ボーナスを廃止するという大胆な判断が功を奏したケースもある。 「’23年夏から、年2回のボーナスを廃止して、その分を月々の給与に組み込む形に変えました。驚く社員も多かったですが、年収は変わらないことを説明して理解は得られました」 そう話すのは、東京・新橋を中心に6店舗の飲食店を展開する「okei」代表の片寄雄啓氏。片寄氏はなぜ、ボーナスを廃止する決断に至ったのか。 「飲食業界ではボーナスを支給すること自体が珍しく、求人票に書いても『どうせ出ないんでしょ』と思われることがほとんどでした。そこでボーナス分を月給に上乗せして額面を上げ、優秀な人材を獲得しようと。加えて、すでに働くスタッフへのプラスにもなると考えたことがボーナス廃止の経緯です。ただ、年1回の決算賞与は業績に応じて現在も出しています」 その結果、スタッフのモチベーションは上がり、各店舗の売り上げも向上。思わぬ副次効果も生まれた。 「人手不足が叫ばれている飲食業界ですが、離職率が低下したので、今はありがたいことに面接をしても採用できない場面が増えています」 片寄氏が待遇改善を進める理由とは? 「一般企業と同様の労働環境をつくろうとしているだけです。飲食業界では長時間労働は当たり前だしボーナスがないケースも多い。でもそれだと店も人も成長できない。すべては現場で働く人を大切にしたいという思い、それだけですね」 働く人を大切にする。当然のことだができていない経営者は多いだろう。

ボーナスをやめる企業の狙いは…