更新日:2025年10月03日 15:45
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先輩作家・爪切男が歌舞伎町を案内!訪れた『バッティングセンター』と『シーシャバー』で花咲く思い出話/カツセマサヒコ

ただ東京で生まれたというだけで何かを期待されるか、どこかを軽蔑されてきた気がする――そんな小説家カツセマサヒコが“アウェイな東京”に馴染むべくさまざまな店を訪ねては狼狽える冒険エッセイ。今回は東京一どころか、日本一、東洋一とも言われる歓楽街・新宿歌舞伎町を先輩作家の爪切男と散歩し、連れて行かれたのは思い出のバッティングセンターとシーシャバーだった。 先輩作家はどんな歌舞伎町の思い出を語るのか? 願いは今日も「すこしドラマになってくれ」。

先輩とバッセンとシーシャ【新宿駅・爪切男(作家)】vol.10

「彼女にフラれて、尊敬してた先輩もいなくなって。もう自分には何も残ってないからいつ死んでもよかったし、誰かが殺してくれるんじゃないかと思ってここに来たんだよ」 金曜の夜。新宿・歌舞伎町は人間の欲の全てを煮詰めたような色をしていて、横を歩く先輩作家・爪切男さんは、そんな街を愛おしそうに見つめていた。 「でも歌舞伎町って、日本で一番安全な街だと思うよ。警察呼べば、どんな内容でもとりあえず来てくれるし」 爪さんがそう言い終えるより早く、後ろを走るタクシーが盛大にクラクションを鳴らした。轢かれるよりは事前にクラクションを鳴らしてくれるほうが優しいし安全だと考えると、爪さんの言っていることもギリギリ理解できた。 「他人に無関心で、将来の夢を語るような前向きな空気もなくて。そういうのがラクだったんだよね」 昔を懐かしむような声に耳を傾けながら、バッティングセンターに入った。今日、二軒目のバッセンだった。

1986年、東京都生まれ。小説家。『明け方の若者たち』(幻冬舎)でデビュー。そのほか著書に『夜行秘密』(双葉社)、『ブルーマリッジ』(新潮社)、『わたしたちは、海』(光文社)などがある。好きなチェーン店は「味の民芸」「てんや」「珈琲館」