200万円の巨大ハニワも!廃墟のような建物に“無数のハニワが溢れる”茨城の珍スポット。駐車場の時点で強烈だった
廃墟、巨大工場、珍スポット、戦争遺跡、赤線跡など全国に存在するリアルな《異空間》《異界》スポットを紹介し続ける旅行マガジン『ワンダーJAPON』。当連載は、編集長である私、関口 勇がこれまで誌面で取り上げたなかでも、「特にインパクトが強かったスポット」をピックアップしたうえ、順次紹介していくものだ。
茨城県の筑波山北麓にある「はにわの西浦」は、創作ハニワを販売するお店だ。「創作」と聞くと「一流シェフの創作料理の店」みたいに連想しがちだが、こちらは「トンデモ創作系」。もちろん「愛すべき」という言葉が付く。
外観は、廃校の一部をリノベーションしたかのような大型の木造建築。蔦に覆われ、かなり植物に侵食され、一見「廃墟かな?」と思う。古電柱を再利用し建てられた建物の中は、1階も2階もものすごい数のハニワが並んでいる。前庭や入口にも大量のハニワが溢れ、建物と別棟の周囲も草まみれのハニワが塀のようにズラリと取り囲む。
さらに交差点を越えた所にある第二駐車場の大部分も無数のハニワが占拠。ツル性植物がからみついたハニワも多く、植物の力で割れるのではないかとヒヤヒヤしながらも、あまりにも強烈な様子にシャッターを押す手が止まらなくなる。
「はにわの西浦」は、本物のハニワをモチーフとしつつもアレンジを加え、サボテンや丸型郵便ポストなど実際にはありえないものまでハニワとして売っている。時代的にはるかに古い縄文時代の遮光器土偶や火焔土器のハニワもある。同じ粘土の素焼きでも、土偶・土器は野焼きなのでススで黒ずみ、ハニワは窯で焼くので黒くならない。以前学者が訪れて、「こんなものはハニワじゃない」と怒り出すこともあったらしいが、そんなことはおかまいなしだ。
先代の山中征一さんが、素焼きの植木鉢を製造する「西浦製陶」を創業したのが1960年頃。当時、鉢植えの花が大人気で、植木鉢を作れば作るだけ飛ぶように売れた。だが、70年代に入るとプラスチック製の植木鉢が主流に。周りの同業者は次々廃業するなか、もともとハニワ作りが好きだった先代は業態転換を決意。ちょうど店の前に県道が整備されるのを機に、ハニワの店としてオープンする。運よくNHKで紹介され、全国からお客さんが訪れるようになり、値の張る大きなハニワも飛ぶように売れたそうだ。

緑に包まれ一瞬廃墟かと思ってしまう外観。無数のハニワと目が合う
廃墟のような建物に並ぶ大量のハニワ

第二駐車場も車数台分を残し、他は大小のハニワが占拠している
学者が「こんなものはハニワじゃない」と怒り出した
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『ワンダーJAPON』編集長(フリーランス・発行元はスタンダーズ)。廃墟、B級スポット、巨大構造物、赤線跡などフツーじゃない場所ばかり紹介。武蔵野美術大学非常勤講師。X(旧Twitter):@isamu_WJ
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【はにわの西浦】
茨城県桜川市真壁町東山田1414
9:00〜17:00・無休
茨城県桜川市真壁町東山田1414
9:00〜17:00・無休
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