「再起をかける人間に寄り添いたい」過酷な運命を自ら切り拓いてきた溝口勇児氏が未来に描く野望
―[インタビュー連載『エッジな人々』]―
持たざる者は日本を動かせるのか

溝口勇児
僕の一番の役割は、BDの興行を成功させること
――BDは初期の頃、話題になるものの採算が取れなかった。一方で、溝口さんが経営に参画して以降は、公開オーディションを行うなど、人間ドラマの一面を可視化させたことでブレイクスルーのきっかけとなった。
溝口:コロナ禍で興行が大きく制約を受ける中、経営が傾いたRIZINの榊原信行さんから経営再建のお願いをされ、オンライン上で格闘技を視聴できるライブ配信プラットフォームを提案し、立ち上げたんです。海外と違い、国内でオリジナルのライブ配信プラットフォームをつくることは前例がなかったこともあり、経営陣の中でも賛否あったのですが、結果的にそれがビジネスとして成功した。かねてから親交のあった朝倉未来君や当時の経営陣に赤字が続くBDの経営について相談を受けたときも、RIZINの成功体験があったからこそ、力になれると思い経営に参画することに決めました。
――BDは、半グレさながらのイキった選手が大暴れする場面が大きく映し出される半面、社会から弾き出された行き場のない若者をどうにかしたい、という強いメッセージ性も感じる。
溝口:僕自身が貧しい母子家庭で育ちました。僕は母が19歳のときに「できちゃった」ことで生まれています。そこから僕が3歳のときに父が借金をつくって女性とともにいなくなった。そういった事情もあって、現代でもまれに見る貧乏な暮らしを2歳離れた妹と強いられることになったんです。
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