【引きこもり中年に密着】都営住宅のゴミ屋敷で15年。うつ病発症から引きこもり「母親を失った58歳男性」の過酷な現実
80代の親が50代の子供の世話をするいわゆる「8050問題」が深刻化している。’25年には団塊世代の全員が後期高齢者となり、引きこもりの子供を残したまま、親が亡くなるケースが増加しているのだ。
内閣府の’22年度の調査によれば、15~64歳のうち推計146万人、実に50人に1人が引きこもり状態(半年以上にわたって家庭にとどまり続けている状態)。年齢別は、40~64歳の引きこもりが約85万人と大きな割合を占める。
そんな働けずに社会から離れたまま年を重ねた引きこもりたちに今、「親の死」という現実が迫っている。引きこもり状態を金銭面で支えてきた親の死後、彼らはどんな現実に直面するのか?
社会との繫がりを断った「大人の引きこもり」が親亡き後に辿る過酷な現実に密着した。
築40年を超える新宿区の都営住宅。学校の校舎を思わせる薄暗い集合玄関を進んだ先に森口哲夫さん(仮名・58歳)は暮らしていた。「すいません、椅子がなくて……」と招かれた部屋は大量のゴミとペットボトルに埋もれている。
森口さんは高校卒業後に俳優を目指して高知県から上京したが、25歳でフリーターに。その後は職場を転々としていたが、38歳のときに人間関係が原因でうつ病を発症した。
「障害年金の申請をしましたが身体障害者手帳3級だったので審査に通らず、しばらくは貯金を取り崩しながら生活していました。抗うつ薬は手放せない生活でも障害者枠の求人に応募してどうにか社会復帰したかったのですが……」
就職できても、すぐに嫌になって引きこもり生活に逆戻り。両親は幼少期に離婚していて、父親はすでに他界。母親だけが精神的なよりどころだったという。
「母は県営住宅でのパート暮らしだったので経済的な支援は諦めていましたが、2年に一度は様子を見に帰郷していたんです。高齢になって認知症などが出てきたら、将来は私が高知に戻って母の介護をするものだと思っていました」
38歳のときにうつ病を発症
![親の死後を生きる[引きこもり中年]の苦闘](/wp-content/uploads/2025/10/8a0151ffa433ef8c7cff352c4188a278-2-550x367.jpg)
ゴミ出しは週に1回、欠かさずに行っている。森口哲夫さん(仮名・58歳)にとってこの部屋にあるものはすべて必要なものなのだ


