更新日:2026年05月08日 18:40
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不登校→精神疾患→俳優→事務所倒産。不幸すぎる40歳にある未来/佐藤 優

人生にはさまざまな山があり谷がある。今回届いたハガキの主は不登校の学生時代を過ごし、精神科病棟に入院。その後就労支援を受けながら資格を取得してタレント業を営んでいた男性。しかし、事務所が倒産し、仕事が途絶えてしまったという。悩める相談者に“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報・外交のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、ひとつの解を導き出す!

精神疾患を抱える私はどう生きていけばいいのか

インテリジェンス人生相談

※画像はイメージです

★相談者★不屈(ペンネーム) 俳優 40歳 男性  私は子供の頃から内向的で、中学・高校と不登校になり、一時、精神科病棟へも入院しました。20代は障害者の就労支援事業所に通所し就職を目指し、30代には司書補資格を取ったりしましたが、働き始めると体調を崩しうまくいきませんでした。  転機は34歳のときで、普通の仕事を諦めた私は映画オーデションに応募し合格。映画デビューをして、地方の事務所に所属。ナレーション、イベントの司会の仕事をもらい、舞台にも立ちました。しかし近年、事務所が諸事情で消滅し仕事が途絶えてしまいました。  できた時間を生かして英語の勉強をし、英検準1級を取りましたが、私は俳優をやめて英語力などを生せるキャリアへ転換を図るべきでしょうか。

佐藤優の回答

 現代の社会は複雑です。近代社会は啓蒙的理性、すなわち合理性を基本に組み立てられています。合理性を基本にするならば、未来を予測することも可能なはずです。しかし、それがなかなか難しいのです。ロシアの作家ミハイル・ブルガーコフの代表作に1930年代、スターリン独裁体制下のモスクワに悪魔が現れる『巨匠とマルガリータ』という作品があります。この小説の中で悪魔の頭目のヴォラントがこんなことを述べています。 〈管理するためには、なにはともあれ、ある一定の期間を見通した、それもかなりの長期間を見通した正確なプランが必要です。人間は笑止千万なほど短い時間、たとえばまあ一〇〇〇年としておきましょう、わずか一〇〇〇年先を見通したプランを作れないどころか、みずからの明日のことにすら責任がとれないのですよ。それなのに、どうやって管理できるというのでしょうか。〉(『巨匠とマルガリータ』27頁)  あなたの場合も、「できた時間を生かして英語の勉強をし、英検準1級を取りましたが、私は俳優をやめて英語力などを生せるキャリアへ転換を図る」という合理的計画を立てても、それが思いどおりに進む可能性はほぼないと思います。

’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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