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クマ被害死者数13人「人の味を知ったクマ」が増える恐怖。“冬眠しない個体”の出没に年末年始の対策は?

死者数が13人に上るなどクマ被害が過去最悪を記録している。さらに冬眠しないクマの増加も予測され、年末年始も警戒が必要だ。“もしもの時”に備え、クマの生態に詳しいプロから対応策を聞いた。

クマ被害による死者数は13人を記録

[クマvs人間]ガチンコ撃退術

写真はイメージ

クマの大量出没と被害が過去最悪を記録している。環境省が11月に発表した資料によれば、今年度の被害者は197人。死者数は過去最悪だった’23年度の倍以上になる13人を記録している。その理由の一つに挙げられるのは、クマにとっての食糧難だ。クマ研究の第一人者である北海道大学の坪田敏男教授が話す。 「今年はクマが冬眠前に好んで食べるどんぐりの生りが非常に悪い。そのため、エサを求めて人里に下りてくるクマが増えているんです。この生りの悪さは自然のサイクルなので来年には解消されることが予想されますが、近年の傾向としてはクマの分布域拡大で人馴れが進んだことも熊害増加の一因。かつてはクマの生息地と市街地との緩衝地帯として里山がありましたが、過疎化によってその里山がクマの生息地に成り代わり、人との距離が近くなったのです」 人との距離が近くなった背景には「新世代のクマの増加」もあるという。東京農業大学の山﨑晃司教授が話す。 「クマは警戒心の強い動物で、山の中では人を避ける傾向にありますが、学習能力が高い分、一度『人里は危険でない』と知ると、警戒心が薄れていく。その行動を母グマは子に見せて学習させるため、成獣になる前から人を怖がらないクマが増えていく。クマと適切な距離を置くための集落周辺の環境管理ができない限り、この傾向は続くでしょう」 市街地での被害は今後も増え続ける可能性があるのだ。また、今年は年末年始も注意が必要だという。通常12月には冬眠に入るが、“眠らないクマ”も増えているためだ。 「日本ではここ40年ほどで森が広がってクマの生息地が2倍に拡大し、近年は温暖化や集落周辺の食物の影響でクマの活動期間が延びている。今年はどんぐりの生りの悪さから、早くから冬眠するクマがいる一方で、冬眠を遅らせるクマが増える可能性もある点には注意が必要です」(山﨑氏)

過去に類を見なかった民家押し入り熊害事件

※どんぐり不作や温暖化、人馴れの進行により、クマ被害は過去最悪規模へと突入し、冬眠しない個体の増加によって“年末年始にも遭遇しうる”という、これまでにない危険な段階へと移りつつある。市街地にまで踏み込むアーバンベアの存在は、人とクマの距離がすでに後戻りできないほど縮まっている現実を突きつけている。こうした状況を踏まえ、有料記事後半では、実際に発生した“前例のない熊害事件”の意味、人の味を知ったクマが生む次の脅威、そして我々が日常で取るべき具体的な回避策とサバイバル手段について専門家が徹底解説する。(残り:1642文字)