更新日:2026年05月12日 16:59
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「燃え上がるメンヘラ」現代中年 惑いまくり小説『まだおじさんじゃない』【第五章・第一話】/鳥トマト

 出版社・有幻社で漫画編集者として働く若林信二。担当作のアニメ化が決まり、ライツ事業部の堅山賢一とやりとりを重ねるうちに、自らが人生の“周回遅れ”であると気づく。失恋を振り払うように婚活アプリを始めるがうまくいかず、編集部には怪文書が届き続けている…… 「僕も五十歳になったときに、部長のような力を維持できているだろうか」――。『東京最低最悪最高!』が話題の人気漫画家・鳥トマトが“大人にならなければ”と自らを戒める中年の心の惑いを描く。

第五章(若林信二編)・第一話「燃え上がるメンヘラ」

「今回はうちの若林が本当に申し訳ございませんでした」  俺は烏丸編集長と神保町の上島珈琲店で、漫画家のアピ丸、そしてアピ丸の母親に高級羊羹を手渡していた。謝罪は心が削られる。 「いい大人が本当に恥ずかしいと思わないんですか? ちょっと順番に何が起こったか説明していただけます?」  アピ丸の母と名乗る女は、この爽やかな秋の午後に額に青筋を浮かべて、唾を飛ばして俺たちを罵倒し続けていた。 「有○社のV編集部に持ち込みをしたところ『漫画家じゃなくて専業主婦にでもなった方がいいんじゃない』と言われ大変傷つきましたレポ」というタイトルの漫画をアピ丸がXに投稿して、炎上していることに気がついたのは三日前のことだった。
漫画家でありながら、歌ったり踊ったり、また小説家としても活動する奇才。現在、『二月に殺して桜に埋める』『私たちには風呂がある!』を連載中。その他の著書に『東京最低最悪最高!』『アッコちゃんは世界一』などがある。Xアカウント:@tori_the_tomato