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アメリカ対外政策の第ゼロ・中南米。ベネズエラ情勢と高市政権が直面する国内課題/倉山満

 2026年を迎え、世界は再び覇権国アメリカを軸に激動の様相を呈している。米中対立、ウクライナ紛争の行方、中東・中南米での軍事的緊張――これらが日本の安全保障と経済に直結する今、我が国が進むべき道筋とは(以下、憲政史研究家・倉山満氏による寄稿 ※2025年12月24日時点の原稿です)。
高市早苗氏とトランプ米大統領

’25年10月25日、トランプ大統領との初めての電話会談で「日本はインド太平洋地域における米国の不可決なパートナー」と伝えた高市首相。果たして…… 写真/産経新聞社

世界中が固唾をのむアメリカの一挙手一投足

 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。  今年も新年恒例、「今年の世界と日本の展望について」書く。  まず世界の覇権国家はアメリカ。世界中がドナルド・トランプ大統領の一挙手一投足に固唾をのみ、右も左も「トランプは何をしでかすかわからない」とボヤく。しかし、これほど行動原理がわかりやすい政治家も珍しい。なぜなら、「宣言したことをやる」だからだ。  トランプの優先順位の第一は、中国。さすがにいかなる左派でも、今のアメリカで「中国に抜かれてもいい」などとは言えない。アメリカの対外政策の最優先事項は、「中国の台頭を抑えつける」である。

優先順位第二は「ウクライナ」

 第二は、ウクライナである。大国のロシアが現在進行形で行っている紛争なので、優先順位は高い。しかし、トランプは「わざと長引かせてんのか?」と思わされるような言動が多い。  まず、アメリカはウクライナ紛争に関して中立でも何でもない。ウクライナへの最大の武器支援国だ。それをトランプが、前の大統領の「バイデンが始めた」とか何とか言い出して、強引に和平交渉を始めた。何よりプーチンに味方だと思わせなければならないので、ウクライナのゼレンスキー大統領への当たりはキツくなる。  トランプは「獲られた領土をすべて取り返せなど非現実的だ」と言うが、ゼレンスキーが「それは認められない!」と強硬に主張すると、「それもそうだな」と物わかり良くなる局面があった。ウクライナとしては「同盟国かつ最大の大国の圧力ならば仕方がない」と国内の強硬論者を納得させたいのに、これではゼレンスキーの方が困ってしまう。  アメリカの対外政策の第三は中東。アメリカは中東の石油が無くても困らないが、同盟国の多くは依存している。また、重要な同盟国のイスラエルを守らなければ、アメリカ国内のユダヤ人を敵に回し、選挙も心もとなくなる。だから’25年は、十二日間戦争でイランを叩きのめした。
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アメリカの対外政策には、「第ゼロ」がある
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憲政史研究家 1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『噓だらけの日本近世史』が2月28日に発売

噓だらけの日本近世史 噓だらけの日本近世史

通説を覆す「嘘だらけ」シリーズ日本史編、待望の第三弾。


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