更新日:2026年05月08日 16:52
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夕飯が「おはぎ」の家、ちょっとどうかしてる?…『孤独のグルメ』原作者が懐かしの味を秋保温泉で再発見/久住昌之

『孤独のグルメ』原作者で、弁当大好きな久住昌之が「人生最後に食べたい弁当」を追い求めるグルメエッセイ。今回『孤独のファイナル弁当』として取り上げるのは秋保温泉の名物スーパーで買ったおはぎ。果たして、お味はいかに?
孤独のファイナル弁当

お茶の足湯で、おはぎという最後はどうだ!?

孤独のファイナル弁当 vol.25「お茶の足湯で、おはぎという最後はどうだ!?」

 仙台の郊外、秋保温泉に初めて行った。  ここには地元では有名な「さいち」というスーパーマーケットがある。この店で一番人気なのが、なんとおはぎなのだ。なんと一日1万5000個も売ったことがあるという。おはぎってそんなに売れるものなのか。  ボクは普段おはぎは食べない。が、子供の頃実家では時々出た。しかも夕飯に。  夕飯がおはぎって、どうだろう。食卓のテーブルの真ん中に大きなお皿が置いてあり、そこにあんこのおはぎときなこのおはぎが2対1くらいで盛ってある。一個がでかい。  そして家族各自には空のお茶碗が配られ、箸で各自、一個ずつおはぎを茶碗に取って、食べるのだ。それが夕飯。  今考えると、ちょっとどうかしているような気がする。茶碗と箸でおはぎの夕飯。  確かお吸い物がついていた。味噌汁はさすがに合わないと母も思ったのであろう。いつもの自家製の糠漬けもあった。それだけの夕飯。やっぱり変なウチ。  ボクら兄弟は、きなこのほうが好きだった。甘いし。でもあんこのも食べた。でも一人2個食べればもうお腹いっぱいという感じに大きかった。変だけど、子供だったから、どこか不自然とは思ったけど、なんか楽しかった。いつもの夕飯と違うところが。  しかし、それを還暦過ぎてお昼にやるとは思わなかった。茶碗には取らないけど。  さいちの店内に入ると、ごく普通のスーパーだったが奥にあるおはぎのコーナーには驚いた。横3mくらいの商品ケース3段が全部おはぎ。壮観。こんなに売れるんですか? 2個3個6個入りと、いろんなパックが売ってる。種類はあんこときなこと、珍しい納豆! 納豆のおはぎは初めて見た。ぜひ食べたかったが、翌日酒蔵の取材だったので納豆はご法度なのだ(納豆菌が強すぎるので、酵母に害を及ぼす可能性がある)。白いおはぎの上に大粒の納豆が一面だけのっていた。食べてみたかった。  ボクはあんこときなこを1個ずつ買って、その日のお昼の弁当にしたのである。

1958年、東京都出身。漫画家・音楽家。代表作に『孤独のグルメ』(作画・谷口ジロー)、『花のズボラ飯』(作画・水沢悦子)など。Xアカウント:@qusumi