「朝鮮人が放火したせい」“関東大震災のデマ”に騙されていた小説家とは。文学賞にもなった偉人の“意外な一面”
学校の授業で学ぶ歴史には、偉人たちの輝かしい功績や「すごい」エピソードが数多く登場しますが、どんな人物にもそれだけでは語れない一面があります。
歴史をひもとくと、「すごい」人の中にも、思わず目を疑うような「やばい」行動や選択が、数多く記録されているのです。
そんな「すごい」と「やばい」の両面から、日本史の人物のリアルな姿に迫るのが『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』(ダイヤモンド社刊)。
今回は、『羅生門』や『地獄変』などで知られるエリート文豪、芥川龍之介のちょっと情けないエピソードを取り上げます。
1923年9月1日、関東大震災が東京を襲います。
家族と家にいた芥川龍之介は妻の文に「地震だ、早く外へ出るように」とだけ言うと、さっさと逃げていきました。
文が二階で寝ていた次男を抱えて階段を下り、龍之介の養父が長男を抱いて必死に家から避難すると、そこにはひとりで突っ立っている龍之介の姿が!
「赤ん坊が寝ているのを知っていて、自分ばかり先に逃げるとは」と激怒する妻に、龍之介は「人間最後になると自分のことしか考えないものだ」とボソボソ言い訳しました。
震災で木造住宅の多くは火事になり、10万人以上が亡くなりました。
このとき「火事は朝鮮人が放火したせいだ」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「政府に逆らう社会主義者のテロだ」といううわさが広まりました。
まったく根も葉もないデマなのですが、龍之介はこれをすっかり信じてしまいます。
そして親友の菊池寛にもこのうわさ話をしたところ、デマを見抜いていた寛は「ウソさ、君、そんなことは」と、龍之介を一喝したのです。
しかし、かれは反省するどころか逆ギレし、陰謀論を信じない親友を「野蛮」よばわりした文章を発表してしまいました。
(本原稿は『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』からの抜粋です)

芥川龍之介 出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」 (https://www.ndl.go.jp/portrait/)
地震にビビって子どもを放置
デマに騙され、注意してくれた親友にも逆ギレ

菊池寛を「野蛮」呼ばわりした文章 イラスト:和田ラヂヲ(『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』より)

本郷和人監修『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』(ダイヤモンド社)
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