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不妊治療をあきらめた42歳女性「子供のいない自分が欠落して見える」佐藤優が贈る、自分を責めないための視点

“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える! 今回は、5年間の不妊治療をやめ、子供のいない自分を「欠落した人間」に感じてしまう42歳女性の相談について。自分を責める必要はないと語る佐藤が示した、一つの選択肢とは――。

子供がいない自分が欠落した人間に思える

★相談者★ドロップアウト(ペンネーム)派遣社員 42歳 女性  5年間続けた不妊治療を2月でやめました。43歳になる今年で、都の補助金が受けられなくなること、不妊治療による体の負担が大きすぎて仕事を休みがちになってしまったことが理由です。もう子供はあきらめましたが、あきらめた途端、自分は人間として欠落しているように感じてしまいました。両親も、孫がいる妹の家には頻繁に遊びに行くのですが、私と夫に会いに来ることはほぼありません。子供をあきらめた私にはもう両親を笑顔にできないように感じてしまいます。不妊治療のために割いていた時間が、今では子供をつくれない自分について悩む時間に変わってしまいました。何に対しても前向きに考えられない私はどうしたらいいでしょうか?
不妊治療をあきらめた42歳女性

※画像は生成AIによるイメージです

佐藤優の回答

 子供ができないということは、よくある現象です。1人の女性が一生の間に出産する平均的な子供の数を合計特殊出生率と言います。この数値が2.07を下回ると人口が減少していきます。日本では、1997年に65歳以上の老年人口が14歳以下の年少人口を上回りました。 〈政府は、少子化社会対策基本法(2003年制定)や子ども・子育て支援法(2012年制定)などによって少子化を食い止めようとしてきたが、これまでのところ大きな成果はみられない。現在の合計特殊出生率は1.4前後にとどまり、2008年からは総人口が恒常的に減少傾向にある。/政府の予測によれば、2040年頃に老年人口がピークに達し、以後は徐々に減少する。しかし、高齢者の全人口に占める比率は上昇を続ける。少子高齢化と生産年齢総人口の減少は、日本経済にも大きな影響を及ぼしている〉(『高等学校 政治・経済』131頁) (※編集部注:同書は’24年刊。厚生労働省の人口動態統計によれば、2025年の合計特殊出生率は1.14で、10年連続の低下となり過去最低を更新している)  この高校教科書の記述からも明らかなように、子供がいない人は日本にたくさんいるのです。この事実で、あなたが自分を卑下したり、落ち込んだりする必要は全くありません。  自分で子供を産まなくても、家族に子供を迎える特別養子縁組という制度があります。特別養子縁組とは、養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度です。養親になることを望むご夫婦の請求に対し、下記の要件を満たす場合に、家庭裁判所の決定を受けることで成立します。 〈①実親の同意/養子となるお子さんの父母(実父母)の同意がなければなりません。ただし、実父母がその意思を表示できない場合又は、実父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となるお子さんの利益を著しく害する事由がある場合は、実父母の同意が不要となることがあります。  ②養親の年齢/養親となるには配偶者のいる方(夫婦)でなければならず、夫婦共同で縁組をすることになります。また、養親となる方は25歳以上でなければなりません。ただし、養親となる夫婦の一方が25歳以上である場合、もう一方は20歳以上であれば養親となることができます〉(子ども家庭庁HP)  このほかにも、細かい規定がいろいろあるのですが、この2つの条件を満たしていれば、特別養子縁組はかなりの確率で成立します。実際に特別養子縁組で子供を迎え、幸せに暮らしている家族が私の周辺に数十あります。特別養子縁組で養子を迎えることについてパートナーと話してみることをお勧めします。 ★今週の教訓……教科書にもあるとおり、子供がいない人は多い
『高等学校 政治・経済』

社会の在り方についての見方、考え方を養い、現代の諸課題を多様な視点に着目して追究したり解決に向けて構想することを目的に用意された教科書の一つ。’24年刊

※今週の参考文献『高等学校 政治・経済』谷田部玲生他 第一学習社
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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