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【高田馬場・路上刺殺事件】「なんで殺したの」55箇所を刺された22歳女性の実母の怒り。弁護側は“借金漬けの困窮”を主張

 昨年3月、東京・高田馬場の路上で動画配信中だった女性が、男に襲撃され刺殺された事件。殺人などの罪に問われた高野健一被告(44)の初公判が今年7月1日、東京地裁(井戸俊一裁判長)で開かれた。  前編では、検察側の冒頭陳述をもとに、身の毛もよだつ残忍な犯行に至った経緯などを詳報した。後編となる本記事では、弁護側の冒頭陳述と、被害女性の実母の供述調書などから、事件の背景をひもとく。 【前回記事を読む】⇒「「復讐だけしたい」22歳女性配信者を生放送中に刺殺。400万円貢いだ44歳男が“口座残高161円”に絶望、暴走した理由」はこちらへ

障害年金生活のなかで始まった“歪な関係”の実態

高田馬場

事件後、現場付近には多数の花などが供えられていた 
2025年3月14日/筆者撮影

 起訴状によると、2025年3月11日の午前9時50分頃、東京・高田馬場の路上で佐藤愛里さん(当時22歳)の顔面や首などを、ナイフ(刃体の長さ約12.4センチ)で刺して殺害。さらに、犯行に使用したナイフを含む2本を所持した、殺人と銃刀法違反で起訴されている。  検察側に続き、弁護側の冒頭陳述がはじまった。弁護側は「起訴内容は争わない」としながらも、金銭を搾取され続けた事情を述べて情状酌量を求めた。その要旨は次のとおりである。 <高野さんは統合失調症と診断され、通院しながら月7万の障害年金で生活をしていました>(弁護側冒頭陳述の要旨・以下同)  決して余裕があるとは言えない生活状況だった。しかし、好意を抱いた佐藤さんに、高野被告は大金をはたいた。 <LINEで、たわいもないやり取りをするなかで、佐藤さんは直接会うことを提案してきました。何度か(山形市にある勤務先の)お店に行き、その度に大きなお金を使いました>  佐藤さんは当時、出生地の山形県内のキャバクラに勤務していた。その初対面から1か月ほどで、佐藤さんから「お金を貸してほしい」と無心され、指定された金額を送金した。 <(貸した金銭を)すぐに返すという約束は守られませんでした。それ以降何度か「お金を貸してほしい」と頼まれました。色々な理由でしたが、高野さんはそれを信じました。しかし、すぐに高野さんの貯金は底をつきました>

借金までして送金…返済を求めても届かなかった訴え

 高野被告の貯金では、まかないきれない金銭の要求に、断ったこともあったという。だが、佐藤さんは引き下がらなかったようである。 <しかたなく、お金を消費者金融から借りて佐藤さんに貸しました。その後、高野さんは何度も返してくれるように頼みました。佐藤さんは「大丈夫」、「返す」と繰り返しました。そのうち、返信もなくなりました>  一度だけ、高野被告の返済要求に応じて、3万円を返してきたことがあった。しかし、以後返済されることはなく、それどころか、姿を消すように佐藤さんは配信を休止してしまった……。  これを受けて、高野被告は、告発するようにSNSに佐藤さんとの金銭トラブルについて投稿。すると、当時の交際相手とされる人物からこんな申し出があった。 <「SNSで投稿されると影響がある」と言われ、今後同様の投稿をしたら違約金として300万円払うように求められました。高野さんは警察に相談しましたが、「民事には対応しない」と門前払いされました。そこで、裁判を起こすことにしました>  勝訴判決を受けた高野被告は、佐藤さんの口座を差し押さえたが、残高はわずか「160円」。もはや判決は紙切れにすぎなかった——。
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勝訴しても戻らぬ金…法的手段でも救われなかった現実
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傍聴歴7年、傍聴総数1000件超。 都内某私立大の大学院に在籍中の現役大学院生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴をはじめ、有名事件から万引き事件など幅広く傍聴している。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行なっている。
Xアカウント:@Gakuse_Bocho

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