ひろゆきが語る、人生で“損をし続ける人”の特徴。「今さらやめるのはもったいない」思考のワナ
「ここまでやったんだから、今さらやめられない」――。そう考えて嫌な仕事や人間関係を続けるほど、損失は膨らんでいく。ひろゆき氏が説く、中年以降こそ知っておきたい「サンクコスト」にとらわれない考え方とは?

サンクコストという言葉があります。すでに払ってしまい、この先頑張っても回収できないお金や時間や労力のことで、本来はコレを今後の判断材料に入れてはいけません。過去に使った時間やお金は、戻ってこない。それなのに、意地でも回収しようとするから、さらに同じ場所に時間やお金を置き続けて、結果的にもっと損をするわけです。
でも人間は、損を認めたくない生き物なので、この判断が苦手です。ましてや中年だと過去の蓄積が多い分「今さらやめるのはもったいない」と思いがちなわけです。
では何を基準に考えればいいかというと、「ここまで何を払ったか」ではなく、「これから何が得られるか」。これは金融資産でも同じで、本来見るべきは「過去にいくらで買ったか」ではなく「これから持ち続けたほうが得なのか、売ったほうが得なのか」です。
この「これからの期待値で考える」という思考は、人間関係や趣味にも当てはまります。人間関係や趣味は金融資産みたいに何かを回収するためのものじゃなくて、その時々で楽しむためのもの。だから楽しくなくなったら、ただ距離を置けばいい。会いたくなければ会わない、連絡したくなければしない、予定が合わなければ断る。それだけで自然と距離はできます。
この「距離を置くかどうか」を判断するときに目安になるのが、その時間から得たものを客観的に説明できるかどうかです。知識が増えた、技術が身についた、収入につながった、信用が増えた。そう説明できるなら、しんどい時間にも意味はあります。でも「嫌だったけど我慢しました」しか残っていないなら、それは努力ではなく、ただ嫌な時間を過ごしただけです。
学校教育の副作用なのかもしれませんが、嫌なことを我慢すればあとで報われる、と思い込んでる人は結構います。確かに勉強は知識や資格として返ってくることもあります。でもそれは「嫌なことをしたから報われた」のではなく、「勉強したことで得るものがあった」だけの話。つまり見極めるべきは「つらかったかどうか」ではなく「これからの自分に何が残るか」です。
一方で会社だけは、この期待値の考え方が少し複雑になります。「ここまで勤めたから辞められない」は典型的なサンクコスト思考ですが、「辞めても次の選択肢がないから、今のポジションにとどまるほうがいい」だったら、それは「これから」のための判断なわけです。嫌な会社でも給料が出ていて他に選択肢がないなら、しがみつくこと自体が一つの立派な戦略になり得ます。
ただ、その際に「これからの選択肢が増えるのか減るのか」は考えたほうがいい。ただ我慢した記憶しか残らないなら、それは未来のサンクコストになり得るからです。
過去に使った時間を取り返す方法なんてありません。できるのは、これからの時間を同じ場所に捨て続けないことだけです。だって、無駄だった時間についてあれこれ考えることそのものが、一番の無駄ですから。
構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』
「今さらやめるのはもったいない」人間が苦手な判断

ひろゆき
「しんどい時間」には、本当に意味があるのか?
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』
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