ひろゆきが考える「中年以降に陥りがちな害悪思考」の正体。過去の成功体験が“負債”になる瞬間とは
就職氷河期世代は人生後半戦をどう生き抜くべきか? 同世代のひろゆき氏が壮大なテーマに挑む。今回のアドバイスは『過去の正解は、コピペするほど“負債”になっていく』その真意とは?

おじさんの強みとして、経験やパターン認識があります。過去に似たような失敗をしていれば、「これは危ない」と早めに気づけるし、経験によって避けられる失敗はあります。
ただ、経験と「昔の俺はすごかった」という感情は別物です。「昔はこの方法で成功した」「俺たちの頃はこうだった」という感情は、今の問題を解決するわけではないので、無駄というより害悪に近かったりします。
過去の経験が今でも使えるかどうかは、現状それでうまくいっているかを見ればいい。昔からの方法でうまくいっているならそのままでいいし、逆に結果が出ていないのに続けているなら、もう時代に合っていない可能性が高いです。
そこで重要なのは、過去の経験を「そのとき使った方法」と「そこから得られたパターン」に分けて考えることだと思います。「歴史は繰り返す」と言われますが、同じ形で繰り返すわけではありません。人が騙される理由や、組織で揉める原因、商売が失敗するパターンは似ていても、技術や環境が変われば解決方法は変わります。
だから、「昔はこう解決した」という方法をコピペするのではなく、「なぜ失敗したのか」「なぜうまくいったのか」という共通部分を今に当てはめる。これが経験を生かすということだと思います。「このパターンは事故になる」「この数字だと事業として続かない」といった判断に再現性があるなら、今でも使えます。
具体的なやり方まで今も通用するとは限りません。例えばExcelのマクロの組み方を先輩が覚えていても、今は必要になったときにAIへ聞けば答えが出てきます。昔は価値のあった「やり方を知っている先輩」も、AIが教えてくれることを一から教えるだけでは、価値がほぼない。
つまり、おじさんの経験として価値が残るのは、細かいやり方ではなく、過去の成功や失敗から共通する「パターンを見抜く部分」です。
僕は仕事のやり方は実際に関わる人に決めてもらうことが多いですが、それは僕が昔どうやっていたかより、その人がやりやすい方法で結果が出るなら、そのほうがいいから。だから若い人が違う方法を提案してきたら、とりあえず試してみるくらいの度量はあっていいと思います。もちろん、明らかに失敗しそうなら助言しますが、そうでなければ自分のやり方に変えさせる理由はありません。
一方、求められてもいないのに「君のためを思って」と始めると、ありがた迷惑になる可能性は高いです。今は「コミュニケーションの距離感がおかしい」という理由で新人が辞めることもある時代です。明らかに事故りそうなときだけ口を出すくらいの距離感でちょうどいいと思います。
だから、昔の成功体験をそのまま使うマニュアルではなく、今を判断するための参考資料くらいにしたほうがいい。成功体験が“負債”になるのは、経験を持っていることではなく、そこで使った方法まで今も正解だと思い込んだときだと思いますから。
構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』
「過去の経験」が今でも使えるかを見極める方法

ひろゆき
経験が生む価値とは「パターンを見抜く力」
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』
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