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14歳生徒が銃乱射で9人死亡…観光大国・タイの知られざる闇。民間銃1000万丁の“銃社会”の実態

 アジアでもトップクラスに外国人観光客が多いタイ。夏休み期間中の8月は多くの日本人が訪れ、タイの魅力を堪能した。円安、タイの物価高とはいえ、まだまだ安く滞在できる一面もあるので、節約しながらタイを楽しむ人も多いようである。  予算を抑えめに過ごしたければバンコク郊外、他県など、都会であったり観光地、リゾートではないエリアを巡るといい。ローカル価格で過ごすことができるはず。ただ、いいも悪いも表裏一体。ローカルエリアのデメリットもある。タイ語しか通じない問題のほか、治安が悪い場合が多いことが一番の問題点だ。
銃社会のタイ

バーなどナイト・エンタメのスポット、歓楽街は金属探知機があるなど、わりとセキュリティーはしっかりしていることが多い

 外国人向けエリアはスリなどの軽犯罪はあるものの、命にかかわるトラブルは少ない。しかし、実はタイはアメリカほどではないにしても“銃社会”という一面があり、バンコク郊外でも危険なことが多々ある。今年8月7日午前10時ごろ(タイ時間)、バンコク北西側に隣接するノンタブリ県の公立校で、同校に通う男子生徒が校内で拳銃を発砲する事件が起きた。

学校で生徒による銃乱射事件、さすがにタイ人も衝撃で首相も現場に駆けつける

 タイ警察の発表による事件の概要・時系列はこんなところだ。  少年Pは事件当日午前9時30分〜9時50分ごろにバッグに銃器を入れ、通常どおり登校し授業を受けていたという。その後、教室から出るとまずは校舎5階の教室に侵入し、教員2人を射殺。階下4階に降りて副校長ら職員を銃撃し、さらに3階にある国語教員用控室や他教室へ向けても発砲した。  発砲音で教室内などに隠れていた生徒たちは10時15分ごろになって教職員の誘導で校外へ避難。警察や救急隊が現場へ到着し包囲したものの、10時30分ごろ、少年Pは自ら頭部を撃ち自殺を図った。救命措置を受け病院へ搬送されたものの、のちに死亡が確認される。  この事件で少年Pを含め9人の死者が出ている。少年Pのほか翌日に病院で亡くなった女子生徒1人、学校関係者・教師5人。そして、校外にも2人いた。発生時点では判明していなかったが、少年は登校前に自宅で同居の祖父73歳と祖母74歳を射殺していたのだ。  少年Pは日本の中学3年生に相当する14歳だった。事件に使用された銃器はCz-75(チェスカー・ズブロヨフカ75)コンパクトとタイでは報じられている。少年は校内で発砲中に何度も弾倉を交換していて、これら弾丸と拳銃は祖父のものであった。当人らが死亡しているのでどのように祖父から少年に拳銃が渡ったのか、あるいは少年が祖父の目を盗んで持ちだしたのかはわかっていない。  時代背景もあって、SNSや動画投稿サイトで生徒や近所の人々がライブ配信していたこともあって、発生直後にこの事件は全土に知られた。  容疑者の少年Pは家庭内の問題や学校の成績でストレスを抱えていたという。  銃撃事件だけでなく、日本ではありえないような理由・要因のトンデモ事件が発生するタイだが、さすがのタイ人もこの事件は衝撃的で、マスコミでも一般的な世間話でも数日間はこの話題で持ちきりであった。  そして、当日中にアヌティン・チャーンウィーラクン首相兼内務大臣も事件現場を訪問。タイ全土で銃器の検問・取り締まりを強化するよう指示している。首相の命令により、現在急速にタイの銃規制が動いている状況だ。

実は銃社会のタイだが、規制はすでにはじまってはいた

銃社会のタイ

タイ警察コマンドー部隊の訓練風景。連射可能なマシンガンなどは、さすがに軍人・警官でも個人所有ができない規制が昔からある

 ちょっとした観光で訪れる人にはあまり知られていない事実。それは、実はタイは銃社会であること。  タイの長期滞在者でも知らない人が多い現実。実はアメリカほど自由ではなく、首相の命令以前にすでに銃規制ははじまりつつあったということ。  ここで、バンコクのタイ警察の射撃場にて行われる外国人向け射撃サービス『BKK Shooting by MARU』の代表を務める金丸昌弘氏に話を聞く。 「実はタイは以前から一般の人(基本的にはタイ国籍者)が自由に銃を購入できないようになっていました。いずれにしても、合法的に購入するには、まず銃器購入許可証である『Por.3』(ポー・サーム)を取得しなければなりません」(金丸氏)  このPor.3はあくまでも銃器を「購入・譲受」するための許可で、購入後はその銃についての「Por.4」(ポー・シー)、すなわち所持・使用許可(使用とは射撃場での練習、競技としての射撃、狩猟などに限定)の発給を受ける必要がある。携帯して歩くにはさらに別の許可証があり、その取得は警察官、金行(金製品を扱うショップ)経営などの合理的な理由・事情がない限りはまず承認されない。つまり、合法的に購入しても一般人が携帯して歩くことはほぼ不可能ということになっている。 「近年は一般の人が合法的に銃を購入するための審査もかなり厳しくなっていて、誰でも簡単に銃を買えるというイメージとは『タイの銃社会』はかけ離れています」  首相が事件当日に銃規制を厳しくすることを指示し、「事件後の8月11日には新規の銃器購入許可発給を一時停止、新たな公務員向け福利厚生銃事業の停止、銃砲店や射撃場に対する弾薬管理の検査強化などが決められています」という。  金丸氏によれば、Por.3に関しては2026年2月の時点ですでに「本人だけでなく、身辺や近しい人物の違法行為との関係まで詳しく調査するようタイ全土の関係省庁に指示していました」というくらい、すでに銃規制は厳しくなっていた。その中で起こった事件なので、タイ政府・警察内での動揺は大きく、首相の動きも早かったわけだ。  Por.3申請に関しては資産や健康状態などの調査、公務員を保証人にした素行調査なども行われる。少年Pの祖父は元教師で、つまり公務員だったことから銃器購入は一般の人よりも容易だった可能性もある。ちなみに、事件に使用されたCz-75は現在8万バーツ(約40万円)が相場とされる。金丸氏の発言内にある「公務員向け福利厚生銃事業」は、簡単にいえばタイの公務員割引制度だ。おそらく6万バーツ(約30万円)くらいになると考えられる。
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ほかにも起きているタイの少年による銃関連事件
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髙田胤臣(たかだたねおみ)。タイ在住ライター。初訪タイ98年、移住2002年9月~。著書に彩図社「裏の歩き方」シリーズ、晶文社「亜細亜熱帯怪談」「タイ飯、沼」、光文社新書「だからタイはおもしろい」などのほか、電子書籍をAmazon kindleより自己出版。YouTube「バンコク・シーンsince1998│髙田胤臣」でも動画を公開中

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【取材協力】
金丸昌弘 氏
会社名:BKK Shooting by MARU
公式HP:http://csat-bangkok.com
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