「AIを積極活用しろ」が現場を疲弊させる。営業の“武器”が増えるほど成果が出ない理由
生成AIの登場は、我々の生活を劇的に変化させた。帝国データバンクが‘26年3月に発表した調査によれば、生成AIを業務で『活用している』企業は34.5%。およそ3社に1社は業務で生成AIを活用している計算になる。
しかし、ビジネス現場の声を拾うと、必ずしもプラスに働いていると感じているわけではないようだ。

営業支援ツール、マーケティングの自動化ツール、業務チャット、そして生成AI。こうした便利になるはずの数々のツールがかえって現場を疲弊させているという。
これまで1000社超の企業のAI導入を支援してきたamptalk 株式会社代表取締役社長の猪瀬竜馬氏は「1つの商談のために3時間の社内調整と事務作業が必要」そんな悲鳴が現場のあちこちで上がっていると語る。
トップダウンで「AIを使え」と号令がかかるほど、現場は疲弊する――。
この矛盾の正体はどこにあるのか。猪瀬氏にその答えを聞いた。
※本記事は8月28日発売の新刊『AGENT SALES エージェント・セールス』(扶桑社刊)から本文の一部を抜粋、再編集したものです。

皆さんは普段の営業活動で、何種類のツールを使っていますか?SFA(営業支援システム)、MA(マーケティングの自動化)、チャット、Web会議。世の中のDX推進の波に押される形で、営業の「武器」は増え続けました。
しかし、実際どれだけの人が「本当に便利になった」と言えるでしょうか。
ツールが増えるたびに入力作業や確認作業が増え、営業の時間は〝細切れ〞に切り刻まれています。
「毎日目標と向き合いながら必死に成果を追い求めているのに、忙しさだけが増して成果がついてこない……」。
あなたもそんなふうに感じることはないでしょうか?
そして、そんな混乱のさなかに登場したのが、生成AIです。今では会社からトップダウンで「AIを積極活用しろ」という号令が加わり、現場はもはや限界を超えています。 本来であれば現場を楽にするツールの数々なのに、なぜこのような悲劇が起こるのでしょうか。
この問題の本質は、どこまでがAIの仕事で、どこからが人間の仕事かという「境界線」が示されていないことにあります。
なぜ境界線が引けないのか。その根本的な理由は、私たちが「営業」という仕事を曖昧な感覚で捉えており、その構造を解像度高く分解できていないことにあります。

写真はイメージです

営業の”武器”ばかりが増え、現場は疲弊している
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