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39歳の会社員「年収が上がらず、ローン地獄です」

人生をマラソンに例えるなら、40歳は折り返し地点。会社ではそれなりのポストに就くが、若い頃のように体の無理は利かなくなった。それでも家族を養わなければならず、逃げ道のない40代。給料が上がらないのはどの世代も一緒。だが、40歳に特有のマネープランを変更せざるを得ない事情があるようで…… ◆給料が上がらない! 想定外のローン地獄に  従来の賃金体系なら40代以降も収入アップを期待できたが、今やすっかり崩壊。多くの企業で給与制度を見直し、年収据え置きや減収は今やよくある話。だが、収入増を前提に住宅ローンを組んだサラリーマンにとっては大打撃だ。
40歳

最近の夫婦の会話は、住宅ローンや家計などお金に関する話ばかり。 おかげで「最近は子供を介さないと、普通の会話ができない」とか

「20年前に入社した際、会社からは40歳での年収モデルは約650万円と聞いていました。けど、39歳となった今の年収は、それより200万円以上も少ない430万円。収入がこれほど低いとわかっていたら無理してマイホームなんて買いませんでしたよ(苦笑)」  そう嘆くのは、機械メンテナンス会社に勤める石崎克之さん(仮名・39歳)。8年前に600万円を頭金にして、約2000万円のマンションを購入。差額分の約1400万円は25年の住宅ローンを利用した。当時、’90年半ば以降の不景気を経験しており、社内での給与ベースはすでに下がっていた。それでも「まだ40歳時点で年収500万円には届いていました。この給与水準をもとにローンの返済計画を立てており、決して無謀ではなかったはず」と話す。  しかし、リーマンショック以降は会社の経営状態が悪化。’08年以降は月収がほぼ据え置きの状態となっている。住宅ローンはボーナス一括払いを選択していたが、肝心のボーナス支給額が20万円台に割り込む事態になり、返済額を下回るようになったという。 「このあたりから返済がキツくなり、最初は貯金を切り崩して足りない分を補っていました。でも、ウチはもともと蓄えに余裕がなかったため、先々のことを考えると本当にヤバイと思いました」 ◆住宅ローンが払えず家を手放す可能性も  住宅ローンの返済方法を月々均等払いに切り替え、毎月の給料から支払うことにしたが今度は家計を圧迫。なんとマイカーローンを2台分、計300万円を住宅ローンとは別に組んでいたのだ。 「1台は実家の両親の分。経済的な事情で負担しているんですがウチに余裕なんてないのに……」  そのシワ寄せは石崎さんの月々の小遣いにも影響。  現在は月に8000円と中高生並みの金額しかもらっておらず、「正直、生活は苦しいですね」と語る。 「当然、飲み代なんかありません。月1~2回行くのがやっとで、今は会社の同僚から飲みに誘われることもなくなりました(苦笑)」  妻もパートとして働き、家計を補っているが、ローン地獄からは当分抜け出せそうにないという。 「今度、娘が中学生になるんです。塾に行きたがっているので通わせたいけど問題はその費用。教育ローンにまで手を出せば我が家の破綻は確実だし、どうしよう」  傍目にはわからなくても実際にはローン地獄で家計が火の車。これも家庭を持つ40歳のリアルだ。 取材・文/高島昌俊 ― [40歳の危機]その傾向と対策【1】 ―
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