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自衛隊の派遣が想定される中東では、日本はもはや敵――【安保法制に揺れる自衛隊員】

【安保法制】自衛隊の派遣が想定される中東では、日本はもはや敵だった!? 自民党推薦の憲法学者まで「違憲」と断じ、大荒れとなっている新安保法制。通常国会の会期末までの衆院通過が困難となり会期は延長の方向へ。結論は来月以降に持ち越されることになったが……。

 もし、自衛隊が海外の戦場に行けば何が起こるのか。自衛隊OBで傭兵として紛争参加経験を持つ高部正樹氏は「安保法制に賛成」と前置きした上でこう話す。

「実は世界の軍隊の9割は実戦経験がない。どの国の兵士でも初めて実戦を経験する際には死の恐怖や重圧に苛まれる。銃弾が飛び交い、死体を目撃することが当たり前の環境では、屈強なエリート将校でさえ肉体・精神的にダメになる。私自身もアフガニスタンで初めて戦闘にした際、恐怖から逃れようと必死だった。自衛隊員も恐らく同じ経験をするでしょう。ですが、これからの国際情勢を考えれば、八方美人でい続けることは難しい。安全保障上、所属するグループを明確にしなければ脅威に備えることはできません」

 一方、中東情勢に詳しい戦場ジャーナリストの志葉玲氏は、法改正反対の立場から、こう語る。

「最も大きな懸念は自衛隊が戦争犯罪に加担すること。イラク戦争では米国だけではなく欧州の国々の兵士も、仲間を殺された怒りに駆られ拷問に手を染めた。しかも、米国では今でも、戦争の恐怖と罪悪感から1日平均22人の兵士が自殺しています」

 志葉氏は、中東における日本のイメージがどんどん悪くなっていると続ける。

「F35戦闘機の開発に日本が協力している事実や、イスラエル製ドローンにソニー製の部品が使われていることが、中東各国の国営放送レベルで報じられ、日本は敵だと認知されはじめた。法改正になれば、日本は米国の追従者と見られることは確実。東南アジアにはムスリムも多く、日本人観光客が危険に晒される可能性もある」

 安保法制改正については海外から「どう見られるか」も同時に議論されるべきなのかもしれない。

【高部正樹氏】
航空自衛隊を経て、傭兵としてアフガニスタン紛争などに参戦。現在は軍事評論家として活躍中。著書に『危機管理の心得』(文芸社)など

【志葉玲氏】
フリージャーナリスト。イラク、パレスチナなど、主に中東の紛争地で取材を続ける。著書に『原発依存国家』(扶桑社)など

※6/16発売の週刊SPA!では、「安保法制に揺れる自衛隊員のホンネ」という特集を掲載中。「戦場には行かない」と断言する「やるきなし派」の隊員から「尖閣、竹島を奪還しに行きたい」と語る「イケイケ派」の隊員まで、自衛隊員たちの知られざる本音を語っている。

<取材・文/週刊SPA!編集部 写真/貝方士英樹>

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