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サイバー戦争で日本は敗北まっしぐら

サイバー戦争三菱重工、在外公館、国会、総務省……日本の中枢ともいうべき政府機関や防衛企業がサイバー攻撃を受けていることが、明らかになっている。そのほとんどが、知人や仕事上の関係者に成り済ました犯人から、ウイルスが仕込まれたメールが送付される「標的型メール」と呼ばれる手口だ。捜査当局関係者が解説する。

「今回の一連の事件の多くは、PDF形式の添付ファイルに『トロイの木馬』型のウイルスが仕掛けられています。受信者がこのファイルを開くと、トラップドアと呼ばれる秘密の接続回路が開き、そこを通じて外部からのアクセスが可能になるというわけです」

世界各国では、もっとシビアな“サイバー戦争”が繰り広げられている。サイバー防衛に力を入れているアメリカでさえ、今年10月、無人偵察機の操縦システムがウイルス感染したことが明らかになった。

08年には、ロシアとグルジアが紛争になった際、露側がグルジアに大規模なサイバー攻撃を加えている。

「ウイルス感染した数万台のPCを踏み台にして、大量のデータを送りつけることで標的の処理能力をクラッシュさせるDDoS(分散拒否サービス)攻撃が使われた。この攻撃でグルジア政府のサイトや同国の金融システムが使用不能になり、深刻なダメージを受けました」(防衛省関係者)

さらにもっと恐ろしいサイバー攻撃の手口もある。米ブッシュ前政権でサイバー・セキュリティ担当大統領特別補佐官を務めたリチャード・クラーク氏が昨年出版した手記『サイバー・ウォー』(邦訳『世界サイバー戦争』)では、とくに「ロジックボム」というサイバー攻撃の手法に対する警告が強調されている。ロジックボムとは、ハッキングなどで不正侵入するのではなく、システムやチップなどの製造過程であらかじめ悪意のあるプログラムを潜ませておくこと。いざ有事となった場合、外部からの指令でプログラムが起動する仕組みだ。中国製のIT機器やソフトウエアを使用した製品は、日米とも政府機関や軍事施設、主要インフラ施設で当然のように使われている。そこでもし、中国のロジックボムが仕掛けられていたら……。

「軍事衛星やデータ通信が停止すれば、在日米軍も自衛隊もまともに動けない。送電制御システムを暴走させて電力供給をストップさせたり、航空管制を混乱させて事故を誘発させたり、原子力発電所の制御システムを破壊するかもしれない。何が起きてもおかしくない」(防衛省関係者)

では、そんなサイバー戦で、日本は生き残っていけるのか?

「今回の事件で内閣官房を中心にサイバー攻撃への対処を強化しようという動きがありますが、関係省庁の足並みが揃っていません。現在は警察庁主導の犯罪対策として進められていますが、どの国も軍が主導するのが常識。米中露はすでに凄まじい攻撃力を実現化しているのに、国家の安全保障問題との認識が、野田政権には欠けています。現状では、日本はまったく無力なのです」(三菱重工事件を取材している全国紙の記者)

11/28発売の週刊SPA!「サイバー戦争に日本は敗北まっしぐら」では、米中露と日本のサイバー戦争における注力度を多角的に検証。日本のあまりのお粗末ぶりを露呈してしまった。

サイバー戦争2取材・文/週刊SPA!編集部

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