「原発はコストが安い」は欺瞞である

◆マネーな人々 今週の銭格言 【選者】現役金融マン ぐっちーさん なおも原発を推進する日本の自然エネルギー技術は、原子力政策の犠牲になって海外に出ていき、海外の特許に。一方、原発を停止したドイツは、今や自然エネルギーを輸出……震災から1年、いま一度原発問題と向き合うときが来た 【前編】はこちら⇒「経済性」を盾に原発再開をもくろむ人たちのウソ そしてコストの問題。東京電力は、これまでコストが安いことを理由に原発を導入し、もし原発を止めるなら電力料金を上げるぞ、と我々を脅かしています。でも、割安だと主張している日本の電力料金は世界的に見ても既に大変割高。そして、割安だと言っている彼らの計算には今回のような事故処理コストは一切入っていない。実際こうして税金を投入しています。いつ崩れてもおかしくないあの福島原発に、広島の原爆とは比べ物にならない放射線量の使用済み燃料が未だにくすぶっている。これを何百万年にもわたって安全に外に露出しないように管理せねばならない。そのコストは膨大で、日本が何回倒産しても払いきれない……とはあまりにも無責任ではないですか。 さらに、日本発の自然エネルギー技術は、日本の原子力政策の犠牲になり、ほとんどが壊滅、または海外に出ていき、海外の特許として使用されています。 それでも我々はまだ原子力発電を続けますか? 原発を停止した当初は不足分を原発大国フランスから買っていたドイツは、今や自然エネルギーをフランスに輸出しているのですよ。震災から1年、もう一度原発問題を真剣に考えませんか? 【今週の数字】 ’10年度の最大電力 1億7775万kW 最大電力とは、1時間ごとの平均使用電力のうち最も大きい数字。’10年度の最大電力は約1億7775万kW。原子力、水力、火力の発電設備容量の合計約2億8232万kWを大きく下回り、電力は十分足りているとわかる
発電施設の設備容量の推移

’89年度以降の発電施設の設備容量の推移と最大電力を比較すると、原子力発電なしでも十分に電力は賄えるということは明白だ(電気事業連合会HP、総務省統計データより作成)

ぐっちーさん【選者】現役金融マン ぐっちーさん ウォール街で20年生きてきたノウハウをブログに執筆し、いち早くサブプライムローン問題に警鐘を鳴らしていたアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://guccipost.jp/)の主宰を務めている  
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