「経済性」を盾に原発再開をもくろむ人たちのウソ【現役金融マン ぐっちーさん】
◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】現役金融マン ぐっちーさん
なおも原発を推進する日本の自然エネルギー技術は、原子力政策の犠牲になって海外に出ていき、海外の特許に。一方、原発を停止したドイツは、今や自然エネルギーを輸出……震災から1年、いま一度原発問題と向き合うときが来た
◆電気は足りない、原発は安い……ウソだらけの原発問題といま一度向き合う
あの大震災から早くも1年がたちました。日本中が絆、絆の大合唱ですが、一方では青森からのプレゼントの雪を被曝の恐れがある、と抗議する東京から沖縄に移住してきたばか親ども、など、一体この国はどうしてしまったのか、と思わざるを得ません。
そして、原爆を経験している日本は「ノー・モア・ヒロシマ」を合言葉に核廃絶を世界に訴えているはずでしたが、その原爆とは比べ物にならない放射能をまき散らしているにもかかわらず「ノー・モア・フクシマ」どころか、経済性の名の下に、なおも原発を推進しようとしています。今回はこの電力問題を掘り下げてみましょう。
まず、原発が動かないと電力が足りない、という指摘。これは前にも取り上げましたが、既にある既存の発電所をすべて稼働させれば電力は余ります。これから人口もどんどん減るのでさらに余ります。どの統計を見ても明らかです。
次に安定的に供給ができなければハイテク工場が稼働できず、大量の電力を安定供給するには原発が必要で、環境にやさしい自然エネルギーでは代替できないという指摘。これも嘘です。その証拠に日本と並ぶ世界の工業先進国であるドイツはすべての原発を止めて、この5年間で自然エネルギーを倍増させましたが、ドイツ製の工業製品の品質が落ちたという話は聞きません。それどころか、日本の最先端工場は、安い労働力を求め、日本よりはるかに電力事情の悪い国に移動しています。中国なぞ一日に何度も停電しますが、各工場で自前の発電所を設備しているので問題はないのです。
※【後編】に続く⇒https://nikkan-spa.jp/174600
「原発はコストが安い」は欺瞞である
【選者】現役金融マン ぐっちーさん
ウォール街で20年生きてきたノウハウをブログに執筆し、いち早くサブプライムローン問題に警鐘を鳴らしていたアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://guccipost.jp/)の主宰を務めている
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