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“高齢”大関・栃ノ心が天国と地獄の日々を振り返る「勝ち越しを決めた夜は涙が流れてきたよ」

横綱・白鵬に25連敗 自信となった勝ち星

――春場所は2度目の殊勲賞も受賞して、10勝。夏場所では大関にリーチがかかりました。 栃ノ心:大関に昇進するには、直前の場所で33勝以上の白星が必要なんです。私の場合、初場所14勝、春場所10勝で、9勝すれば数字的にはクリアするんですけど、「周囲の人たちを納得させる成績を残さないといけない」と、親方にも厳しく言われていましたから……。 ――プレッシャーはありましたか。 栃ノ心:それはもちろんありましたよ。でも、「一日一番」と自分に言い聞かせて、気がつけば初日から11連勝。12日目は、それまで一回も勝つことができなかった横綱・白鵬関との対戦が組まれたんです。 ――白鵬関とは、本場所で25連敗中だったんですよね。 栃ノ心:どこから行っても勝てる気がしない、というのが白鵬関です。だけど、このときは違った。右四つがっぷりになって、引き付け合いから私が寄り切ることができたんです。自信になりましたね。 ――この大きな白星で、「誰もが納得する」形での大関昇進となりました。場所後の大関昇進伝達式では、印象的な口上を述べられましたね。 栃ノ心:「謹んでお受けいたします。親方の教えを守り、力士の手本となるように、稽古に精進します」だったかな? 何度も練習したかいがあって、間違えないで済んでよかったよ(笑)。私は’13年に大ケガをして(右ヒザ前十字じん帯断裂)、4場所連続で休場。それまでの幕内から、幕下まで番付が下がってしまったんです。手術して、入院しているとき、テレビで大相撲中継を見て、「もうダメなんじゃないか……」って、相撲をやめることばかり考えていました。そのとき、「まさか、辞めようと考えているんじゃないだろうな? あと10年相撲を取らなければダメだ!」と、叱咤激励してくれたのが、親方だったんです。親方がそう言ってくれなかったら、今の私はない。感謝の気持ちを込めて、口上に「親方の教えを守り~」と、「親方」という言葉を入れたんです。 ――30歳7か月での大関昇進。史上4位の高齢記録は感動的でした。 栃ノ心:だからこそ、「大関から落ちたくない」という気持ちが強かったんですよね。逆に今は、「年齢は関係ない」と思っていますけど……。 ※11/13発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【栃ノ心】 栃ノ心剛史。本名、レヴァニ・ゴルガゼ。’87年、ジョージア・ムツケタ生まれ。身長191cm、体重175kg。’06春場所、初土俵。’08年初場所、新十両昇進。夏場所、新入幕。’18初場所、初優勝。名古屋場所、大関昇進。得意技は右四つ・上手投げ。春日野部屋 取材・文/武田葉月 撮影/ヤナガワゴーッ!
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週刊SPA!11/20・27合併号(11/13発売)

表紙の人/ 広瀬アリス

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