お金

あらゆる資産を運用する専門家集団「ファミリーオフィス」の実態とは

最低でも3億円以上の金融資産が求められるプライベートバンク。資産家一族により特化した「ファミリーオフィス」は運用、管理、経営、承継、教育などの専門家集団で組織され、プライベートバンク以上に奥が深いサービスが提供されるという。知られざるファミリーオフィスの実態に迫った。

資産家一族に特化した専門家集団「ファミリーオフィス」の実態とは?

プライベートバンク

ローレンス・ホー氏は「メルコリゾーツ」などを運営し、マカオの新カジノ王と呼ばれる

 もともと欧州の富裕層や貴族の資産を保全する地であったスイスで、資産管理や運用の知識と実績を持つ専門家と富裕層が連帯して会社をつくり、財産を運用したことから始まったプライベートバンク(PB)。PBで提供されるサービスは、「資産運用」(ウエルスマネジメント)と「資産管理・保全」(エステート・プランニング)の2つに大きく分けられる。  香港でプライベートバンカーとして活躍するウェルズ・グローバル・アセット・マネジメントCEOの長谷川建一氏はこう説明する。 「短期間で高収益をあげる資産運用ができたとしても、その収益に高い税率が課されては手元に十分残りません。また、相続の発生で課税されて、長年かけて増やしてきた資産が減少してしまえば大きなダメージとなってしまいます。富裕層にとっては、資産が効率的に運用されることはもちろん、合理的・合法的に計画されてスムーズに承継されていくことも重要なのです。そうなると資産の管理に携わるさまざまなジャンルのプロフェッショナルたちが必要とされることも多いのです」

最善のソリューションをテーラーメイドで提供

プライベートバンク

欧州を中心に1800年頃から富裕層や同族会社を顧客とした専業のPBが誕生。ジュリアス・ベアやピクテはPBの大手として知られる

 基本的には顧客にとって最善のソリューションをテーラーメイドで提供している。 「日本の富裕層の富は、主に国内不動産や自社株(未上場株)で構成されています。これらの資産は流動性に乏しく、換金性が低いことが特徴です。ところが相続・承継が発生したとき、日本では最高税率55%の相続税が課せられます。相続税の納付は、相続財産の所有者だった人の死亡から10か月以内に現金で済ませないとならず、これがとても厳しいのです。  また、海外資産を保有・所有している場合は資産評価や資産課税そのものが国ごとに異なるうえ、相続人に海外居住者がいる場合は居住年数などによって扱いが異なります。国際的な相続案件で海外の当局などとの連絡や対応が必要になることもあり、複数の国をまたいで対応できる法務や税務に詳しい専門家が求められることも多いのです」
次のページ
資産家一族に特化するPBサービスのプロ集団
1
2
3
国際金融ストラテジスト。シティバンクなどのプライベートバンク部門を経て、’13年に香港で起業。富裕層向けに資産運用サービスを提供するウェルズ・グローバル・アセット・マネジメントCEOを務める。5月28日に著書『世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書』が発売

記事一覧へ
世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書

世界の富裕層たちはいかにして富を増やしているのか?