更新日:2023年09月17日 17:56
仕事

“私立御三家”出身、TV局社員の転落人生…時給1000円アルバイトで20年、気づけば50代に――転職のその後トップ5

時給1000円のアルバイトに…

「実はすぐ“アルバイト契約”を通告されました。時給1000円は20年間変わっておらず、月収もずっと18万円。会社の鍵を開けて、お茶や軽食の準備をしたり、接客をしたり。先輩がお情けで置いてくれているんです。手取りだと15万くらい、ボーナスもないから年収も300万未満ですが、それでもありがたいくらい」  そんな待遇でも仕事を続けることができるのは、たとえ雑用でも「制作会社の一員として大手キー局のなかにいられる」というわずかながらに残されたプライドゆえか。 「実家の持ち家もあるし、結婚も諦めてるし、出世欲も当然ない。やりたいこともないし、あとは親の介護くらいでしょうね。一人になれば、実家を売るなりして、なんとか自然死するまでは生き延びようかと……」

毎月10万円以上を貯蓄しているが…

 50を超え、夢も守るものもなく、あとは座して死を待つのみ。毎月10万円以上を貯蓄に回しているのは、趣味もなく、興味のあることもないからだ。かつて“神童”と呼ばれた男は、社会に潰され、人生を悟り、無の境地に達したのかもしれない。生きる意味について問うと、吉原さんからは意外な答えが返ってきた。 「結局強い者が強い。弱い私は弱く生きるしかない。楽しみ? 明日の弁当に何を入れようかとか、週末にはサウナに行ってみようかとか、ささやかな楽しみはある。意味なんて欲しなければ、人間、これほど楽なことはありませんからね」  今回は特殊なケースかもしれないが、高学歴のエリートほど、一度挫折してしまうと脆いということなのかもしれない。 <取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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