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はみ出し老人“アウト老”へと進化したみうらじゅんの人生の楽しみ方とは?

SPA!読者には本誌にて、リリー・フランキー氏とともに「グラビアン魂」を連載していることでお馴染みのみうらじゅん氏が、4月22日(火)に新刊『アウト老のすすめ』(株式会社文藝春秋刊)を発売した。それを記念して過日、紀伊國屋書店新宿本店でみうら氏が記者会見を実施! 今年で67歳を迎え、「老いるショック」から「アウト老」へとステップアップ(?)を果たしたみうら氏が説く人生を面白くするヒントとは――⁉

みうらじゅん

――新刊『アウト老のすすめ』刊行の経緯についておしえてください。 「還暦を迎える前に自分の体に『老いるショック』を感じ始めたんですね。最初はどうしようかなと思っていたんですが、老いは考えてもしょうがないことじゃないですか。だから『しょうがないこと』には『しょうもないこと』をぶつけるのが一番いいなと……。若づくりはやったってバレますよね。だから、その逆手をとって『老けづくり』をはじめたんですよ。自分の実年齢よりも老けて見えるような格好や行動をすることを心掛けようとしたわけです。そうやって『はみ出し老人』みたいなことをやっていく先が、僕が目指す『アウト老』というしょうがないなって言われる人になるっていうことだったんです。連載を色々やってるんで、ことあるごとにそれをネタにエッセイを書いてたんですが、それを一冊にまとめたのが今回の『アウト老のすすめ』でした」 ――アウト老として生きるにあたり、実践していることは? 「しょうがないことって、年を重ねるとシリアスに考えがち。そうなるとしょうがない事の思うツボだから、そうならないようにしょうもないことを必死に考えてぶつけていくというやり口が必要ですよね。そのためには、“DS(どうかしてる)状態”に自分を追い込んでいくことが大事 。僕はアウト老を始めてまだそんなに経ってないですが、仕事場からこの新宿紀伊国屋まで自転車で来たんですけど、さすがに上着は羽織ってきましたね」

エロスクラップも気づけば続けて45年……

――続いて、みうら氏のライフワークでもあるエロスクラップについておしえてください。続けられて、かなり年月が経っていますよね。 「スクラップ自体は小学生のころに怪獣から始めて、小学4年生で仏像に。そこから大学在学中にエロスクラップにシフト。エロの方は今年で45周年になりますね(笑)。冊数は841冊目をむかえました。もしエロにギネスがあったら、スクラップ界では僕はトップだと思ってます。さらにここから1000冊を目指せたら、帯をつけて『千刷希望!』って入れたいんですよね! だから、死ぬまでにその達成ができるかっていうのは見守ってます」 ――エロスクラップ以外にもみうら氏といえば、仏像、飛び出し坊や、いやげもの、カスハガ、ラブドール、近年ではサンリオのクロミちゃんなど多彩な方面に興味関心をお持ちです。人生という限られた時間の中で、如何にしてそれらにのめり込むことができているのでしょうか? 「たっぷり、大谷選手くらい寝ていますね(笑)。年をとってよく『多趣味のみうらさん、老後に趣味がなくて困っているんです……』と相談されることがあるんですけど、実は僕の場合は、そのジャンルが好きになるための要素が3つくらいあって、それに似ているものが好きになるっていうだけなんですよね。何年か前に70万円もするラブドールを買ったんですけど、別に“使用目的”で買ったわけじゃなくて、こんなものを買ったらどうだろうって思いついただけで買ったもの。それに、買ったらどこに置くんだと考えると途端に困るわけで、そこでどんどん自分を追い込んでいくともう好きにならざるを得なくなってくる。だから全てのことは、初めは無理やり飛び込んでみて、大好きになるまでやってるだけなんですよね」 ――最後に、新刊に込めた思いをおしえてください。 「一応、本のタイトルに『すすめ』って書いてあるんだけど、それは僕に勧めてるだけのことなんですよね(笑)。『マイブーム』と同じように、マイブームって考えた時の『マイ』は僕のことだったんですよ。つまり、みうらじゅんのブームだったんです。でも、マイブームが最終的に広辞苑にまで載るようになって、みんなのマイブームになっちゃった。だから、今の段階ではまだ『アウト老のすすめ』は僕が僕にすすめてるだけです(笑)」  多彩な分野に目を光らせるみうらじゅん、67歳。“アウト老”としての探求はまだまだつづく。
アウト老のすすめ アウト老のすすめ

大人げないまま新型高齢者となったみうらじゅんの珍妙な日常や妄想、愛のメモリーがてんこ盛り! 息苦しい社会に風穴を開ける珠玉のエッセイ集