更新日:2026年01月05日 17:45
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最高裁が「違憲」と言っても動かない国会。性別変更“手術要件”が2年放置され続ける理由

 性別変更に外性器の形成手術を必須とする性同一性障害特例法の規定について、最高裁大法廷は令和5年10月、憲法13条が保障する「幸福追求の権利」に違反するとの判断を示した。しかし、違憲判断から2年が経過した現在も、国会はこの規定を削除していない。  “白ブリーフ判事”こと元裁判官の岡口基一氏は、「令和5年、最高裁『性別適合手術要件』違憲判決」について独自の見解を述べる(以下、岡口氏の寄稿)。
最高裁判所

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最高裁が「違憲」と断じても放置。三権分立はタテマエに過ぎない!

 現在、日本で性別変更するには二つの手術を受ける必要がある。一つは生殖腺を除去する「去勢もしくは卵巣摘出手術」。もう一つは外性器を新たに形成する「性別適合手術」だ。このうち後者については、本欄でも前々回書いたように、最高裁大法廷が「幸福追求の権利」を保障する憲法13条に違反するとの判決を’23年に出している。  つまり、性同一障害特例法にある手術要件を定めた規定は、この時点で明確な憲法違反となったわけだ。  では、最高裁から「違憲」との烙印を押された規定は、自動的に即日効力を失うのだろうか? 実は、その答えはNOだ。  そもそも法律をつくったり廃止できたりするのは国会だけという決まりがある。そのため、たとえ最高裁から「違憲である」との指摘が入っても、国会自らがその規定を削除する法改正を行わない限り「違憲状態」がそのまま放置されてしまうのだ。  実際、最高裁から「オマエらのつくった法律は憲法違反だぞ!」と突っ込まれたにもかかわらず国会は無視し続けており、大法廷が出した決定から2年が経過しようとしているのに、いまだに削除される気配はない(ちなみに、この法律の所轄官庁は法務省)。

おかぐち・きいち◎元裁判官 1966年生まれ、東大法学部卒。1991年に司法試験合格。大阪・東京・仙台高裁などで判事を務める。旧Twitterを通じて実名で情報発信を続けていたが、「これからも、エ ロ エ ロ ツイートがんばるね」といった発言や上半身裸に白ブリーフ一丁の自身の画像を投稿し物議を醸す。その後、あるツイートを巡って弾劾裁判にかけられ、制度開始以来8人目の罷免となった。著書『要件事実マニュアル』は法曹界のロングセラー