更新日:2025年12月24日 15:58
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トランプ大統領が中国、ウクライナ、中東よりも最優先する危機とは/倉山満

トランプ政権の対外政策には明確な優先順位がある。中国、ウクライナ、中東――。しかし、それらすべてに優先する「第ゼロ」と呼べる問題が存在する。モンロー主義に基づく南北アメリカ大陸への介入だ。いま、石油産油国ベネズエラで事態が緊迫している。日本は何もすることもできないが、アメリカの優先順位が揺らがないか、注視すべき局面が迫っている(以下、憲政史研究家・倉山満氏による寄稿)。
アメリカとベネズエラの良い関係を表す地図

カリブ海を挟んでアメリカと向かい合うベネズエラ。1999年に反米派のチャベス政権が発足し、’13年以降はマドゥロ大統領が継承。深刻な経済・政治危機に直面している 画像/Adobe Stock

トランプ政権の対外政策と明確な優先順位

 ベネズエラが、きなくさい。と言っても、ほとんどの日本人には意味が分からないだろうが。  アメリカのドナルド・トランプ政権の対外政策は、明確に優先順位がつけられている。  第一が中国である。世界の覇権国家であるアメリカにとって、挑戦者の中国の台頭は許せない。いくら「分断」が著しいとはいえ、共和民主の党派関係なく、「中国に追い抜かれても良い」と主張する政治家はワシントンにはいない。中国の台頭を抑えるのは、超党派の合意だ。トランプ政権は、対中政策を第一に置く。  第二は、ウクライナ。米中に次ぐ第三の大国であるロシアが当事者であるウクライナ紛争は、重要政策である。よって第二。  第三に、中東。アメリカは中東の石油が無くても生きていける。メキシコ湾の石油こそがアメリカの生命線だし、いざとなればシェールガスを掘ればよいと考えている。だが、アメリカ陣営に属する国々(日本も含まれる)にとっては、中東の石油は生命線だ。自由主義陣営の盟主のアメリカは、子分たちを守る為にも、この地域に関与しなければならない。そうでなければ親分面ができないから、利益線だ。現在、紛争が続いているガザに石油は出ないが、無関係な場所に紛争が飛び火するのが中東である。現に、ガザで進攻を続けるイスラエルとイスラムの盟主を自認するイランの間に紛争が勃発、アメリカが「十二日間戦争」で収拾したのは周知の通り。

優先順位「第ゼロ」とモンロー主義


憲政史研究家 1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『噓だらけの日本中世史』(扶桑社新書)が発売後即重版に

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