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【江本孟紀】セ・リーグの「DH制導入」は「悪手である」と思うワケ。日本の野球界にとっても大きな損失になるかもしれない

 2025年の野球界を揺るがしたのが、「27年からセ・リーグでもDH制が導入される」ことだろう。これによってどう野球が変わるのか、各所で議論され続けている。かくいう私としては、「悪手である」と感じている。  1番から9番まで打者を並べておけば、単純に得点率は上がるかもしれない。実際、2025年シーズンのパ・リーグ総得点は2898なのに対し、セ・リーグは2756だった。投手側からしてもメリットはある。途中で代打を出される心配がないから、長いイニングを投げられるようになるだろう。 ※本記事は、江本孟紀著『長嶋亡きあとの巨人軍』より適宜抜粋したものです。
江本孟紀

江本孟紀氏 ©産経新聞

セも実施する「DH制」によって失われるメリット

 何を懸念しているかというと、「パ・リーグのチームに在籍してはいるものの、実はセ・リーグ向いているかもしれない選手」の存在だ。  それぞれの特徴を簡単に述べよう。「ストレートと変化球を投げ分ける投手」と、「ヤマを張りながら対処する打者」が多いのがセ・リーグ。対して、パ・リーグは「速いストレートで圧倒する投手」と、「ブンブン振り回す打者」が多い。各リーグにおける文化の違いは、想像以上に大きいものだ。  いざドラフトで指名した選手が、パ・リーグ向きではないケースも実際にある。最近では、現役ドラフトで移籍した選手の例が分かりすい。

「セ向きの選手」が埋没してしまう

 2022年オフに、ソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎や、24年オフに日本ハムから巨人に移籍した田中瑛斗は、まさにセ・リーグが合う選手だった。  大竹、田中は、それぞれ前所属では出場機会が限られていた。だが移籍した途端、水を得た魚のように躍動したのだ。セ・パの違いを察知していた阪神と巨人が、しかるべき人材を獲得した好例だ。  私は、現役ドラフトに限らず、トレードは積極的に行っていくべきだと考えている。ただ、セ・リーグがDH制を導入することによって、今後「セ向きの選手」が埋没してしまう事態を危惧しなければならない。日本の野球界にとっても大きな損失といえよう。  また、どのチームであっても金太郎飴のような野球に終始してしまうのではないか。12球団それぞれが個性を喪失してしまえば、見る側にとっても魅力を感じにくくなるのは、言うまでもない。
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「第二の大谷翔平」は生まれなくなる?
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1947年高知県生まれ。高知商業高校、法政大学、熊谷組(社会人野球)を経て、71年東映フライヤーズ(現・北海道日本ハムファイターズ)入団。その年、南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)移籍、76年阪神タイガースに移籍し、81年現役引退。プロ通算成績は113勝126敗19セーブ。防御率3.52、開幕投手6回、オールスター選出5回、ボーク日本記録。92年参議院議員初当選。2001年1月参議院初代内閣委員長就任。2期12年務め、04年参議院議員離職。現在はサンケイスポーツ、フジテレビ、ニッポン放送を中心にプロ野球解説者として活動。2017年秋の叙勲で旭日中綬章受章。アメリカ独立リーグ初の日本人チーム・サムライベアーズ副コミッショナー・総監督、クラブチーム・京都ファイアーバーズを立ち上げ総監督、タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督として北京五輪アジア予選出場など球界の底辺拡大・発展に努めてきた。ベストセラーとなった『プロ野球を10倍楽しく見る方法』(ベストセラーズ)、『阪神タイガースぶっちゃけ話』(清談社Publico)をはじめ著書は80冊を超える。
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