ライフ

『孤独のグルメ』原作者が崎陽軒の新商品“ギヨウザ”を食べてみた…シウマイでも餃子でもない味に気づいたこと/久住昌之

『孤独のグルメ』原作者で、弁当大好きな久住昌之が「人生最後に食べたい弁当」を追い求めるグルメエッセイ。今回『孤独のファイナル弁当』として取り上げるのは「崎陽軒のギヨウザ」。果たして、お味はいかに?
孤独のファイナル弁当

崎陽軒の「ギヨウザ」を買ってみた

孤独のファイナル弁当 vol.38「崎陽軒の「ギヨウザ」を買ってみた」

 長野に行く用事があり、午前中に出かけた。立川で特急に乗り換え。時間があったので駅構内で弁当を買って、この連載の原稿を書こうかな、と思ったら崎陽軒があった。つい立ち寄ってしまう。  崎陽軒のシウマイ弁当についてはすでに何度も書いたから、買うつもりはない。  と思ったら、新商品「ギヨウザ」があるではないか。6個入り350円。弁当じゃないが、買わずにはいられなかった。  まず名前が憎い。「ギヨウザ」。「シュウマイ」が崎陽軒では「シウマイ」になっているように、小さい字がない。これだけで崎陽軒ファンはちょいと心が動くのでは。  パッケージデザインがスバラシイ。濃い緑と黄色の2色。「ギヨウザ」の文字のみ白抜きなのが効果的。中華風な2匹の獅子のイラスト。中国的雲模様。例によって余計な煽りコピーの類いはいっさいなし。「横濱驛株式會社崎陽軒製」がまたマニアック。小ささもたまらない。センスいい。買う。これを買ったら、仕方ない、缶ビールもだ。  飲まずに特急車内でお茶と弁当、の予定がギヨウザつまみにビールとなってしまった。これがファイナル弁当だったら。まぁ、いいや。これを弁当としよう。  特急に乗り込んで座ってビールとともにすぐ開けた。  開ける時、切り取り線が切れていく「ペリペリペリ」という触感と音が心地いい。これ、ホメすぎと言われるかもしれないけど、ホント。皆さんにも体験してほしい。こういうところの大切さ、忘れてた。子供の頃、何かのチョコレートのパッケージであった。商品名忘れたけど、ワクワクした。年取った指が子供の感触を覚えてる。  さて箱に並んでいたのは、6個のシュウマイだった。これは我らが知っている餃子ではない。見た目、シュウマイ。ただ肉の中にところどころ緑が透けている。これは「シウマイ」にはない。グリーンピースの姿もない。  そして醤油系のタレとラー油の小袋。ここは餃子だ。ヘラ状の楊枝も入っている。  まずは何もつけないで、1個口に入れる。 「……」  しばし咀嚼し、味覚を尖らせ口の中で考える。  飲み込んで、さらに沈黙。これは、餃子、ではない。でもあのシウマイとは明らかに違う。あのホタテの味がない。……あ、ニラの味がハッキリ口に中に残った。なるほど。そこを糸口に餃子に思えてくる。  ビールを飲む。うまい。これはビールに合う。次にタレとラー油を少量かけて食べてみた。あ、餃子だ。なるほど、焼き餃子でも水餃子でもない、蒸し餃子的なのがギヨウザなのか。これはウマイ。酒の肴としてはシウマイより軽く、優秀かもしれぬ。6個はあっという間になくなった。これ気に入った。もう次のペリペリが待ち遠しい。
孤独のファイナル弁当

’26年4月2日より発売が始まった焼き餃子でも水餃子でもない、蒸し餃子のような崎陽軒「ギヨウザ」6個入り350円。切り取り線を開ける感触に心がくすぐられる

孤独のファイナル弁当
1958年、東京都出身。漫画家・音楽家。代表作に『孤独のグルメ』(作画・谷口ジロー)、『花のズボラ飯』(作画・水沢悦子)など。Xアカウント:@qusumi
SPA!編集部が「人生後半を賢く楽しく生きる」をテーマに厳選した記事をメルマガ会員限定で毎週金曜日にメールでお届けします。仕事・お金・性・人間関係…人生を豊かにする秘訣が見つかります。無料・10秒で完了です。
無料でメルマガ登録する⇒⇒
※登録後、メール認証が必要です。受信した認証メールをクリックして、登録を完了させてください。
※認証メールが届かない場合、迷惑メールに入っているか、メールアドレスが間違っている可能性があります。再度ご登録ください。
【関連キーワードから記事を探す】