AI・半導体株が失速する今、「銀行株」に注目すべき理由。億超え投資家が見る有望銘柄
破竹の勢いで上昇してきたAI、半導体銘柄だがここのところ軟調気味で現在は調整局面にあると見られる。「現在は市場全体が明確な次のテーマを探しています。次の決算発表が本格化する7月末から8月までに短期的な資金が向かいやすいセクターがある」と話すのは資産億超えの個人投資家結喜たろう氏だ。中東情勢も不透明で相場全体の地合いが弱含んでいるなかでも、影響を受けにくい分野とは。億超え投資家が今どんな視点で銘柄を探しているかを追う。

資産億超えの個人投資家の結喜たろう氏。株式や為替を20年以上取引し、リーマン・ショックやアベノミクス相場も乗りこなしてきた。その投資手法は、その時々で話題になる大きなテーマから銘柄を絞り込み、決算発表から好業績が見込まれる株を売買するという堅実なもの。
「直近ではAI、半導体関連銘柄のど真ん中であるキオクシア(東P・285A)も見つつ、関連銘柄である光配線部材のフジクラ(東P・5803)を見ていました。とはいえ、キオクシアは6月半ばに一時10万円台まで上昇しましたが、現在はその上昇前の安値6万7000円台を割り、5万円台になっています。フジクラは6月18日に業績予想で『上方修正』を出し7000円台まで大きく伸びましたが、現在はその際にできた『窓』を埋めて決算発表前の4400円台の水準にあったりします。総じて現在AI、半導体関連銘柄は調整局面にあり上昇の勢いが弱いと言えます」
チャートの「窓」とは前日の終値と当日の始値の間に生じる「価格の隙間」のこと。決算発表で大きな変化があったときや、経済指標でサプライズが出た時に生じやすいと言われる。相場の格言では「埋めない窓はない」と言われ、窓が開くと元の価格帯までにいずれ戻ってくると言われる。ただ、トレンドが強い時にはその限りではなかったりするのも株式投資の難しいところだ。
「フジクラの上方修正発表で出来た窓が埋まってしまったのはAI半導体銘柄のトレンドが軟調なことを示しています。全体的に市場は明確な次のテーマを探している印象がある。この状況が続くと、短期資金は大型株やバリュー株など比較的安心感がある分野に向かうことがあります」
そんななかで結喜氏が注目しているのは「銀行株」だとか。
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AI・半導体の調整局面で「銀行株」が浮上
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「銀行株は、6月に日銀が政策金利を1%程度へ引き上げたことや、今後の追加利上げへの期待を背景にジワジワと上昇しています。足元ではAI・半導体関連の調整や相場全体の乱高下の影響も相対的に受けにくく、セクター内の銘柄が同じ方向に動きやすいのも特徴です」
折しも三菱UFJフィナンシャルグループ(東P・8306)が、一時トヨタ自動車(東P・7203)を押さえて40年ぶりに日本株の時価総額首位に立った場面もあった。それだけ、17年振りの利上げを経て到来した「金利のある世界」の影響が大きいというわけだ。
とはいえ、単純に銀行株を物色すればいいわけではないとか。結喜氏は「メガバンクと地方銀行では収益構造や投資をする際の見方が異なる」と言う。
「メガバンクの収益構造を見ると国内の金利上昇のメリットで業績に追い風が吹いているだけでなく、海外融資や資産運用、法人向け業務など収益源が幅広い。会社規模や銘柄の流動性面でも安心感があります。代表例は三菱UFJフィナンシャル・グループです。ただ、予想PERは14倍台、PBRも1.7倍と株価は上昇しています。割安さで選ぶというよりも、決算やチャートを確認しながら押し目を考えたい銘柄です」

一方の地方銀行は「地域ごとの貸し出し需要や人口動態、保有する債券、与信費用、再編期待などで業績や株価に差が出やすい」と結喜氏は語る。
「ですから、地方銀行の銘柄を売買する際には、今期の利益成長、決算での業績予想の修正、PER、PBRや配当なども比べて条件の良い銘柄を選ぶことが重要です。メガバンクが銀行株全体の上昇を素直に取りに行く投資であるとすれば、地方銀行への投資は割安さと成長性を見ながら、伸びる銀行を選ぶ投資です」
そんななかで地銀の筆頭として結喜氏が挙げるのは宮城県を地盤とする七十七銀行だ(東P・8341)である。
「七十七銀行は地銀のなかでも預金残高が8兆円超えと規模が大きいのが特徴です。2026年3月期決算の経常利益は前期比39.4%増の784億6900万円と大幅な拡大をしつつ、今期の会社予想では更に伸ばして895億円を見込んでいます。配当利回りも3.14%ありつつ、PERは12.01倍、PBRが1.07倍と比較的バランスがよいのもポイントです」

結喜氏は地銀ではほかに新潟県を地盤として2027年に群馬銀行とも経営統合予定の第四北越フィナンシャルグループ(東P・7327)や、配当利回りが3.2%と高いひろぎんホールディングス(東P・7337)、常陽銀行と足利銀行が傘下にあるめぶきフィナンシャル・グループ(東P・7167)なども面白いという。規模と収益源の広さで三菱UFJフィナンシャル・グループ、成長性と割安さの観点で七十七銀行などの地銀銘柄を見ると面白いかもしれない。
構成・文/上野智(まてい社)
個人投資家・一級建築士/工学修士 建築設計事務所勤務を経て独立。 空間建築デザイン業務と並行しながら、個別株を中心に資産運用を実践。不況により事業が厳しい状況に追い込まれる中、趣味で続けていた投資が経営の立て直しに大きく貢献し、億トレーダーの仲間入りを果たす。個人投資家グループや証券会社などからの講演依頼も多く、四半期成長率を重視した銘柄選定と、チャート分析に基づく論理的な売買手法に定評がある。著書『四半期成長率とチャート分析』(パンローリング社刊)は2024年ブルベア大賞を受賞。ラジオNIKKEI『きらめきの発想』準レギュラー。 パンローリング主催『ファクター分析投資スクール』担当講師。
X(旧Twitter):@tarouyuuki0322
メガバンクと地銀の違いを押さえるべし!

三菱UFJフィナンシャルグループ(東P・8306)

七十七銀行(東P・8341)
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