1年で14店舗縮小…ニトリの婦人服「N+」はなぜ苦戦?背景にユニクロ、無印、ワークマンの“高い壁”
ニトリの婦人服専門店「N+(Nプラス)」の店舗数が1年で14店舗減少し、30店舗となりました。2019年3月にアパレルへと進出して出店を重ねてきましたが、公式発表で確認する限り、2025年4月以降は新規出店をしていません。退店のみを進めた1年であり、急ブレーキをかけました。
ニトリは2026年に入って「Nプラス」のターゲットの年齢層を拡大するなど、リブランディングで巻き返しを図っています。

「Nプラス」は40~50歳の女性をメインターゲットとし、シンプルでありながらトータルコーディネートを楽しめるファッション性を持ち合わせていました。店舗数が限られるなか、ナショナルブランドとプライベートブランドを併売。「イオンモール」や「ららぽーと」などのショッピングモールを中心に出店していました。
競合ブランドとして浮かぶのは、「ユニクロ」「無印良品」「ワークマン」「しまむら」でしょう。しかし、競合各社が増収を続けるなか、「Nプラス」は店舗網を縮小しており、対照的な動きを見せています。
「ユニクロ」のファーストリテイリングの2025年9月~2026年5月の国内事業は8%増収、「無印良品」の2026年8月期第3四半期は、連結営業収益が16.9%増、国内事業が8.9%増で堅調に推移。2025年度における女性向け衣料品は、ワークマンが18%、しまむらグループの2026年2月期売上高も前期比5.2%増でした。
「Nプラス」はなぜ競合のシェアを奪うことができなかったのでしょうか。開発力やブランド、出店戦略など様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
「Nプラス」は低価格・高品質な衣料品を、コーディネートしやすい形で提供しました。「ユニクロ」や「ワークマン」が機能性、「無印良品」が着心地と着回しのよさ、「しまむら」は生活に必要な衣料品が安価で何でも手に入るという強みを持つなかで、トータルコーディネートという視点は新しいものでした。
しかし、ニトリには「お、ねだん以上。」という唯一無二のブランドストーリーがあります。これは企画から製造、販売までを自社で手掛け、無駄を省いて毎日使いやすい商品を安く販売することを象徴しています。ニトリのヒット商品に「Nクール」がありますが、消費者がアパレルに期待するのは、このような機能性の高さだったのではないでしょうか。
「ユニクロ」は東レとの共同開発でヒット商品「ヒートテック」を生み出しました。その後も「エアリズム」や「ブラトップ」、「感動パンツ」など、革新的かつ機能的な商品を次々と生み出しています。
「ワークマン」も「メディヒール」など、機能性に特化したヒット商品を送り出しています。両ブランドがヒット商品を継続的に開発できるのは、ニーズを吸い上げる顧客基盤や素材メーカーとのネットワーク、商品開発に集中する大規模な組織があってこそのもの。ニトリがこの領域で優位に立つ難易度は高いでしょう。少なくとも大規模な事業投資が必要になります。機能性で勝負しなかったのは、ライバルとは異なるポジションを確立するためだったのかもしれません。
「Nプラス」はトータルコーディネートというファッション性の高さを打ち出したわけですが、消費者に買ってもらうためには理由づけが必要です。
ユニクロのように高い認知度を持つブランドや、ワークマンのように機能性という明確な強みを持つブランドは、消費者にとって購入理由が分かりやすいという特徴があります。安心感が購入する理由の一つになっているのです。一方、「Nプラス」は認知度が十分ではないという印象です。
ブランド力で勝負しているのが「無印良品」です。「無印良品」は簡素であることの重要性や素材を重視したモノづくりの姿勢を、長い年月をかけて主張してきました。「無印良品」というブランドのファンを引き付けることに成功しているのです。
ニトリは高品質・低価格というブランドイメージがついていますが、少なくとも衣料品においては他のブランドを打ち負かすほどの強さを持ちえなかったということでしょう。

1年で14店舗減少したNプラス beeboys – stock.adobe.com
競合が伸びるなか、なぜ苦戦?
独自性を築く難しさに直面
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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