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「世界3大メーカー」の一角を占める日本企業に“異変”が。「円安の好影響」を受けるはずも、「売上微減」の謎に迫る

競技用自転車のロードバイク業界で、存在感が大きいシマノの業績に異変が生じました。今期上期がわずかな減収だったのです。ロードバイクは三密回避の趣味としてコロナ禍でブームとなりましたが、その反動に見舞われて市場はやや停滞気脈を見せます。しかし、シマノの危機は市場の影響だけではありません。強力なライバルにシェアの一部を奪われている実状が浮かび上がります。
シマノ

「シマノ」に何が起こったのか(rosinka79 – stock.adobe.com)

特需反動超える成長鈍化と新台頭

シマノは自転車の完成車を作っている会社ではありません。コンポーネントを製造するメーカーです。コンポーネントは変速機やブレーキ、チェーンなど自転車の主要な構成パーツのこと。いわば心臓部とも言える重要な集合体です。ロードバイク向けのコンポーネントは路面での速さを追求する最新技術が盛り込まれており、世界最高の技術力が集結します。シマノは世界3大メーカーの一角で、この分野のトップメーカー。そしてイタリアの老舗カンパニョーロ、質実剛健なアメリカのスラムがあります。 シマノはコロナ禍で自転車特需の好影響を受けた2022年の自転車事業の売上高が5049億円でした。しかし、2025年は3550億円。ピークと比較すると3割以上も減少となります。シマノは売上減の要因として、ブームの落ち着きやインフレによる景況感の悪化を挙げました。しかし、シマノは原材料高騰の影響などを受けて変速機などの値上げを実施。シマノの自転車事業の売上は9割以上が海外を占めるため、円安の好影響も受けるはずです。しかし、2025年の売上は微増、2026年上期は微減でした。つまり、コロナ特需の反動だけでは説明しきれない成長阻害要因を抱えている可能性が高いのです。脅威と言えそうなのがアメリカのスラムの台頭でしょう。

スラムの「革新が生む好循環」

スラムはマウンテンバイク(MTB)に強みを持つコンポーネントメーカー。しかし、最近になって急速にロードバイクにも広がってきました。そして、スラムは戦略的にそれを展開してきたメーカーだったのです。 ポイントはワイヤレス電子変速機構の導入です。スラムは2006年にロードバイクへと本格参入しました。2010年代はシマノとカンパニョーロが圧倒的だった時代です。スラムが一目置かれるようになったのが、2015年のワイヤレス電子変速「RED eTap」の投入でした。2016年に一般向けに販売を開始します。ワイヤレス機構は配線が減るためにフレーム設計の自由度を上げることができました。組みつけも容易で、メンテナンスの負荷を下げることにも役立ちます。 当初は高額なモデルだったものの、2021年に「Rival eTap AXS」を投入。専門誌もワイヤレス機構の価格を大幅に引き下げたと評価しました。これにより、中価格帯のロードバイクにワイヤレス機構を組み込んで販売することに成功。コロナ特需真っ只中で、スラムの名を世に広めました。そうした中で、市場に変化が起こります。材料費が上がって自転車価格が高騰し、エントリーモデルが売れなくなってきたのです。ロードの売れ筋が高付加価値モデルへとシフトすると、中価格帯でスラムに馴染んでいた人が高価格帯でも選びやすくなるという状況を作り出しました。 例えば、自転車の名門メーカーである「スペシャライズド」は、2020年ごろはシマノのコンポーネントが中心でした。しかし、2026年はシマノとスラムが併存してユーザーが選べるよう変化。シマノ中心だった「トレック」も、2026年は上位モデルでスラムのコンポーネントを採用します。スラムのブランド認知が広がったことや、価格競争力をつけたこと、製品の供給能力をつけたことなどにより、コンポーネントのシェアにおいて重要なカギを握るOEMのシェアを高めているのです。
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シマノに逆転策はあるのか?
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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