「エースだけ揃えても大会は成立しない」棚橋弘至が『キングダム』から考えた、強い組織のつくり方
新日本プロレスの人気プロレスラーにして「100年に一人の逸材」と言わしめ、プロレスラーを引退したばかりの第11代社長(’23年12月就任)棚橋弘至が、日々の激務のなかでひらめいたビジネス哲学を綴っていく。今回は「『キングダム』から学ぶ組織論」について。棚橋社長はいったいどんな結論に至ったのか。(以下、棚橋弘至氏の寄稿)
今回は「『キングダム』から学ぶ組織論」と題して書いていきましょう。
ええ、そうです、お察しの通り、映画を観てきたばかりだからです。
『キングダム』は原作の漫画をもともと読んでいたのですが、すごいことに先輩の真壁刀義選手が沛浪役で出演されていて、心からうらやま……いや、尊敬しています。

さて本題。
キングダムの世界がすごいのは、強い人材ばかりにもかかわらず、「強さ」の種類がバラバラなこと。
王騎将軍のようなカリスマ型の絶対的エース。
李牧のような頭脳派の戦略家タイプ。
桓騎のような不気味な異端児タイプ。
そして主人公・信のような、経験も戦術も足りないけれど心意気だけで這い上がる原石タイプ。
これ、実はプロレス団体の運営と、とても近いのです。エースだけ揃えても大会は成立しません。
年間の試合スケジュールを考える知将がいて、話題になり続ける異端児がいて、そしてそこに伸び盛りの原石(若手)がいなくては、団体の未来がありません。
秦国の強さの秘密は、身分に関係なく武功で評価される制度にあったと言われます(棚橋調べ)。
家柄や身分より結果。
これは今の企業経営にも通じる話で、実際に新日本プロレスでも「ファンの皆さんが今、誰を求めているのか?」「誰が今、リングで一番の声援(武功)をもらっているのか」といった点を注目して見るようにしています。
そして、王騎将軍の言葉「これが将軍の見る世界です」も響きます。
プロレスラーは、一番になりたい人間の集まり。まさしく、この精神のなかで生きています。
なぜならば、チャンピオンにならないと、見えない景色があるからです。
しかし、社長になり、見えてきたこと。組織にとって大事なのは、猛将一人の強さより「猛将たちが機能する仕組み」をつくるということ。

人材配置ができるかどうかで、組織の伸び方が変わってきます。
これが、まさに社長の仕事なんですね。
猛将、知将、そして原石(若手)──。
この3つが噛み合ったとき、新日本プロレスはさらに強くなります。
今、皆さんの目に、新日本プロレスはどう映っているでしょうか?
天下取れそうですか?
素晴らしいプロレスラーたちがたくさんいますので、どうぞ、ご期待ください!
最後に、個人的に憧れている李牧の見事な長髪。引退試合後にバッサリと髪を切った僕ですが、こっそり伸ばして長髪にしましょうか。
見た目だけでも名軍師に。いや名社長に(笑)。
1976年生まれ。新日本プロレスの第11代社長(’23年12月就任)。’26年1月4日を以て現役を引退。キャッチコピーは「100年に一人の逸材」
vol.81『キングダム』に学ぶ、組織を支える力と、強い組織のつくり方

棚橋弘至 ©新日本プロレス

ひとり映画観賞。リフレッシュできるよね! ©新日本プロレス
今週のオレ社訓 ~This Week’s LESSON~
猛将一人の強さより「猛将たちが機能する仕組み」をつくる! <文/棚橋弘至 写真/©新日本プロレス>1976年生まれ。新日本プロレスの第11代社長(’23年12月就任)。’26年1月4日を以て現役を引退。キャッチコピーは「100年に一人の逸材」
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